第22話 拒否

ステラ達は討伐隊で疲れたため、食事を買って帰り、孤児院のみんなで食べ終わると倒れるように寝てしまった。

翌日、重い体を動かし、ギルドマスターに朝来いと言われているので、已む無く冒険者ギルドの受付まで来た。

「ステラちゃん達、昨日はお疲れ様。」


「お姉さん、お疲れ様です。」


「ギルマスが執務室で待ってるわ。執務室まで案内するわね。」


お姉さんに案内されギルドマスターの執務室に通される。

「ステラ、ボルタ、ナミ、アイル、グレタ、昨日はご苦労だった。

 これは報酬だ。それぞれ金貨15枚だ。受け取ってくれ。」


「ステラ、金貨15枚だってよ。」

「すごーい。」

「大金持ちだ。」

「こんな大金貰っていいの。」


「お前たちが一番活躍したんだ。これでも少ないくらいだ。

 まだ、子供だからギルド銀行に預けとくか。」


「そうだな。大金持ってるって襲われるの怖いな。」

「確かに。」

「そうだよね。」

「襲われるのは嫌。」


「どれだけ預ける?」


「「「「うーん。」」」」


「銀貨5枚、銅貨50枚貰って、金貨14枚は預けとけば。

 それでも多いなら、銀貨3枚銅貨20枚で金貨14枚と銀貨5枚預けとけばいいんじゃない。」

とステラは助言する。


「そうだな。それぞれ銀貨3枚銅貨20枚にしとくか。」

「そうだね。」

「うん。」

「うん。」


「それでいいんじゃない。私は金貨15枚そのまま預けてください。」


「わかった。手配しよう。」


こうして報酬を各自受け取る。


「それから、お前たちのランクアップを言い渡す。」


「ステラ、お前はAランクに昇格だ。

 ボルタ、ナミ、アイル、グレタはBランクに昇格だ。」


「お断りします。」

ステラは即答する。


「なんでだ。」

「ステラ何で断るんだよ。」

「ステラどうしたの?」

ギルドマスターとダイン、ナミが驚いてステラに疑問を問いかける。


「Aランクになったら強制依頼を受けなくちゃいけなくなるから、絶対嫌よ。

 私は自由に生きたいの。」


「それだけの実力があるということだろ。光栄なことじゃねえか。」


「光栄かどうかは本人が決めることよ。」


「確かにそうだが、今回、強制じゃなくても参加したじゃねえか。」


「参加せざるを得なかったから今回参加したのよ。」


「何が違うんだよ。」


「オークロード以外は、ボルタ達でもやっつけられたわよね。」


「あぁ。」


「私もオークロードの頑丈さではまだボルタ達でも難しいかなと思ってたのよ。

 もし、オークロードが倒せなくて、この国の孤児院が襲われたらと考えて、討伐に参加しただけで、戦いが好きなわけじゃないの。

 それに数日後にはこの国を出るのは決めてたからね。

 憂いは晴らしておくものでしょ。」


「なんで、この国を出るんだよ。」


「私には従魔がいるのよ。その従魔と離れ離れになったから、探しに行かなきゃならないのよ。」


「それは聖王国が関係しているのか。」


「うーん。関係してるともしてないとも。」

聖王国で従魔は認められていない。


「その従魔は何だ。」


「フェンリルのリルっていうの。」


「フェンリル?なんでそんなすごい獣が従魔になってるのかは疑問だが。

 お前にも都合があるのだな。」


「そうね。」


「わかった。ランクアップは保留しておこう。

 ただ、お前は規格外だから、勝手に活躍して、また昇格関係で揉めると思うぞ。」


「だから、積極的に戦闘しないようにしてたんですよ。」


「なるほどな。わかった。」


「ボルタ達は昇格に異論はないな。」


「「「「はい。」」」」

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