第21話 解放
「ステラ、お前、何かしやがったな。
くそっ、やることが山積みだ。
後で執務室に来て必ず説明しろよ。
まずは、オークの納品だ。」
「はーい。」
数が多いので解体所へ行く。
そのまま、解体所の保管室へ通され、ここで出してくれと言われる。
ここで20体分の解体したオーク肉を出していく。
「20体、実際に見ると多いな。」
ガルボが言う。
「そうですね。」
納品が終わっても、執務室でギルドマスターに尋問されることが決まっているステラは死んだ目で返事する。
「ステラ、どうした?死んだ目して!」
「すぐ帰りたいのに、この後、ギルドマスターに執務室に来いって言われたんですよ。
疲れているのに。」
「お前達、大活躍だったみたいだな。」
「私は数日後にこの国を出ますからね。」
「お前、この国出るのか。」
「ボルタ達は知ってますよ。」
「マジか!なんでだ?」
「もともと聖王国から可能な限り遠い国に行きたかったんですよ、私。」
「そうか、聖王国で聖女候補をクビにされたって言ってたな。」
「そうですよ。それに目立ちたくないのに、あんな目立つようなことして。」
「それはすまなかった。カイゼルは目立つこと好きだからな。」
「無理強いしたので不信感一杯ですよ。」
「わかった。今日はこのまま帰っていいぞ。俺が説明しとく。」
「本当に。」
「ああ。疲れてるって言ってたしな。
まだ子供なんだから、飯食って今日は早く寝ろ。」
「やったー。」
「その代わり明日の朝来て、カイゼルと話をしてくれ。」
「うん。わかった。じゃあね。」
ステラはダイン達と一緒に帰っていった。
ガルボは他のスタッフに査定を委ね、執務室に向かった。
ガルボは執務室のドアをノックする。
「誰だ?」
「ガルボです。」
「入れ。」
「失礼します。さっきステラ達は帰しましたよ。」
「お前、何勝手なことを。」
「ステラが言っていました。数日したらこの国を出るって。」
「なんでだよ。」
「ダイン達には数日前に伝えてたみたいですね。」
「・・・・・・。」
「目立ちたくないみたいですよ。」
「力がある者は周りに認められるべきじゃないか。」
「ステラにも事情があるんじゃないですかね。」
「どんな事情だよ。」
「ギルマスも知ってるでしょ。
ステラが聖王国で聖女候補をクビにされたの。
活躍自体はギルドとして喜ばしいことかもしれませんが。」
「何が言いたい。」
「これは私の私見ですがね、クビにした聖女候補が実は他にすごい能力持ちだった。
聖王国はどう考えるでしょうね。」
「連れ戻しに来るとでも言いたいのか。」
「そういうことを考える奴もいるんじゃないかってやつですよ。」
「拒否すりゃいいじゃないか。」
「そりゃそうかもしれませんが、今の聖王国って不安定でしょ。
他国から信頼ないし、目立たなければ平穏に暮らせるっていうか。」
「お前の言いたいことは分かった。
俺が先走った。」
「いえ、明日の朝、ステラ達には執務室に来るように伝えてあるので、よろしくお願いします。」
「ああ、わかった。」
「失礼します。」
頭を下げて、執務室を出るガルボであった。
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