第20話 凱旋

オークの巣で、倒したオークを解体していく。

巣の中には、10人程度の人骨が発見される。

犠牲者を助けられなかったのが悔やまれるが、どうしようもない。

犠牲者の遺品をまとめて、王都へ戻ることに、馬車には、解体したオークが積み込まれているが、馬車が足りない。

「誰か、収納バックを持っている者はいるか。」

ギルドマスターが討伐隊のメンバーに声を掛けるが、持っている者が、既に満杯でこれ以上入らないと返事をしている。

しょうがないのでステラが、

「残りは私が持っていきます。」


「お前、収納バック持っているのか?」


ステラは小声でギルドマスターへ話しかける。

「私達が持ってるのは、バックでなくボックスです。」


「そそそそうか。じゃあ頼む。行くぞ。」

ギルドマスター達が王都へ歩き始める。

アインツが、ギルドマスターに声を掛ける。

「良いんですか。先に出発して?」


「良いんだよ。残りの素材は、ステラ達が持って来てくれる。」


「あんなに残ってるんだ。無理じゃ・・・

 ん・・・もしかしてボックス持ち???」


「アインツ、小声でな。

 そういうこと。他の奴に知られない方が良いだろ。

 お前も口外禁止な。」


「分かってますよ。」


一方、取り残されたステラ達は、

「じゃあ、収納ボックスへオークを収納してっと。」


「この量が入るなんて、ステラはやっぱりすごい。」

ダインが感心して言う。


「私が居なくても、4人とも収納ボックス持ちなんだから。」


「そうなんだが、ボックス内がまだ整理できないんだよ。」

「「「うん。」」」

ダインの返事に同意する3人。


「じゃあ、行こう。」


王都に着き、冒険者ギルドが目視できる距離になると、冒険者が戻ってきた討伐隊のメンバーを労うために、待ち構えていた。

サブマスが

「オークロードを討伐した討伐隊の凱旋だ~。」

冒険者ギルド前で拍手喝采の嵐となっている。

ステラが遠目でそれを見て、

「ねえ、ダイン、私達、今から、あそこに行かなきゃダメ?」


「ダメだろうな。」


「えー、めんどくさい。」


「しょうがないじゃん。

討伐したオークの素材をたくさん持ってるんだし、行くしかないよ。」


「あんなに人集りが出来てるところにわざわざ行きたくない。」


「いい加減にしろよ。ステラ。

 オークロードを討伐できなかったら、王都は壊滅してたかもしれないんだぞ。

 残っている冒険者達は感謝してるから集まってんだ。

 受け入れろ。」


「うううっ、わかったわよ。我慢すればいいんでしょ。」


「我慢って?」


「私は自由に生きたいの。目立ったら、自由に生きられないじゃない。」


「じゃあ仮面でも被るか?」


「!!!」


「そうだ、ダインは先頭を歩いて、私はその後ろを歩いて行くから。」


「大人しくついて来いよ。アイル達はステラが逃げないようにしろよな。」


「任せて。」


ギルド前で、ギルドマスターが

「今回の討伐で一番活躍したパーティの到着だ。」


「うおおおー。」


「全員子供じゃねえか。」

「4人組のガキどものパーティか、本当にすげえのか。」


ギルドマスターが

「おい、ステラはどうした。」


「アイル、ステラは?」


「えっ、ずっとダインの後ろにいたけど。」


ギルドマスターが、

「あれ居るな!さっき認識出来なかったのは何でだ?

 ・・・お前、なんかしたな?」


「てへぺろっ。」

ウインクをしながら舌を出すステラ。

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