第19話 実力の一端

ステラの不敵な笑みをみて、ギルドマスターのカイゼルはステラに言い放つ。

「信じていいんだな。」


「任せてください。

 アイル、オーク達を挟み込むように巣側に土壁をお願い。

 私はオークロードがいる森側に結界を張るから、魔法が使える人は、巣側と森側のオークに最大出力の攻撃魔法を放ってください。」


「分かった。」

ボルタ、ナミ、グレタが森側に攻撃魔法を使う。

「メソフォティア。」

「メソイードル。」

「メソアエラス。」


「ばばばば~ん。」

「どかーん。」

「どどどどどーん。」


「なら俺達は、巣側を攻撃するぜ。」

魔攻力のメンバーが火魔法で、巣側にいるオークを攻撃する。


「どごーん。」


ギルドマスターが双方の攻撃を見て、

「子供達の魔法の方が強力だな。

 エーギル、ユーギル、ブレーメン、やるぞ。」


「「「おう。」」」


それぞれが抜剣し、巣側のオークに切りかかっていく。


しばらくすると魔法攻撃で見えなかった視界が晴れる。

巣側で、ギルドマスター達がオーク達に切りかかってが、オークの皮膚が思いのほか厚く、剣の攻撃が聞いていない。


逆に、山側のオークは、ボルタ達の魔法で、オークロード以外殉滅できていた。


12対4じゃ分が悪い。


ステラがギルドマスターに呼びかける。

「ギルドマスター達、戻って来て~。」


「くそダメか。お前ら結界内に戻るぞ。」


「嫌だ。俺たちの力はこんなもんじゃない。」

「そうだ。こんなもんじゃねえぞ。」

「くそ、オークに切りかかって自慢の剣が刃毀れしてしまった。」


「良いから戻れ、駄々捏ねるなら降格させるぞ。」


「くそ、わかったよ。」


ギルドマスター達が戻ってくる。


「不思議な結界だな。

 俺達は出入り自由なんだな。」


「そういう制約で結界作ったからね。」

何でもないようにステラは答える。


「ボルタ、ナミ、グレタ、巣側もお願い。」


「「「分かった。」」」


「メソフォティア。」

「メソイードル。」

「メソアエラス。」


「おいおいおい、すげえ攻撃だな。」

ギルドマスターがあきれた声を出す。


「これで、オークロード以外はやっつけたかな。」


「そうみたいだが、オークロードはどうする?」

ギルドマスターがステラに問いかける。


「もちろん。やっつけるよ。」


「どうやって?ボルタ達の魔法も聞かないんだぞ。」


「結界解除するよ。」

ステラは結界を解除する。


オークロードは結界が解除された途端、猛スピードでこちらに向かってくる。

ステラは風魔法を詠唱する。

「メソアエラス、斬。」

するどい風の刃がオークロードの首に迫る。

「バサーッ。」

風の刃がオークロードの体をすり抜けていったと思った瞬間、

「ぼとん。」

オークロードの首が地面に落ちる。

静寂の最中、ギルドマスターが、

「勝どきをあげろー!」

「うおおおおー。」

「やったー勝ったぞー。」

「助かった。」

「死ぬかと思った。」

それぞれこの戦いに臨んだ者が感想を述べる。


「すげえぞステラ。」

ボルタ達が駆け寄ってくる。


「討伐できてよかったね。」


「さすがステラだ。」

「何あの魔法?」

「さすが俺達の先生だ。」

「ステラ、私もあの魔法使えるようになる?」


「あははは!

 グレタ、魔法を習熟していけば使えるようになるよ。」


「ホントに。」


「本当だよ。」


ギルドマスターが近づいてくる。

「とんでもない奴だな。本当に何者だよ。お前。」


「聖女候補をクビになった無能ですよ。」


「聖王国はとんでもない奴をクビにしたな。」


「あははは。」


「後始末をして帰るぞ。」


「はい。」


こうして、オークの討伐は無事終わった。

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