第18話 討伐隊

翌日の朝、私達は冒険者ギルドに到着した。

ギルド内に入ると、受付嬢に声を掛けられ、ギルドマスターの執務室に行く。

執務室の中に案内されると、疲れた顔したカイゼルさんとアインツさんが座っていた。

「来たか。」


「はい。どうでしたか。」


「魔の森側の端に洞穴があり、そこにオークロードが潜んでいる。

 オークの数は22体だ。何体かは上位種への進化の可能性もある。」


「そうですか。」


「討伐は、俺とアインツ、カーツ、マルコ、ステラのパーティ、『双翼の剣』『魔攻力』『四重奏』でおこなう。

 ステラ達は、基本、後方支援だ。

 子供達に前線はやらせたく無いからな。」


「Cランクパーティが4組という認識であってますか。」


「あぁ、すまんな。危険な役回りをさせて。」


「大丈夫です。

 とりあえず、ギルドマスターと一緒に偵察へ行ったメンバーは私が作ったポーションを飲んでおいてください。

 サブマスに聞けば用意してくれると思いますよ。」


「ああ、わかった。出発は一時間後だ。」


「はーい。」


一時間後、ギルド前に討伐隊参加者が集まっていた。


討伐に参加しない冒険者たちが小声で私達を見て何か言っている。

「なんで子供達が討伐隊に参加してるんだよ。」

「どうやら先日オークを発見し討伐したのが彼奴ららしいぞ。」

「あんなガキが・・・嘘つくなよ。」


「静かにしろ。」

ギルドマスターが大声でいう。


「こいつらは、オーク3体を討伐している。

 しかも、オークの素材が取れないほどの傷をつけた奴らだ。

 異論は認めん。」


「・・・・・・。」


「では、行くぞ。」


オークの巣を目指して討伐隊は歩いて行く。

「あそこだ。」


「オークが2体、見張りですかね。」


「おそらくな。」


「ギルマス、初撃は俺達にやらせてくれ。」


「マーベル、魔攻力か。どうやって攻撃する。」


「俺達の火魔法で見張りに攻撃を仕掛ける。

 見張りのオークを倒したら、巣の中にいるオーク達が出て来る筈だ。

 あとは各個討伐すればいい。」


「エーギル、双翼の剣はどうする。」


「魔法攻撃してくれたら、俺とユーギルで先行して、出て来るオークを斬り伏せてやるよ。

 他のメンバーは後方支援組の護り手だな。」

「四重奏は俺が先行する。他のメンバーは後方支援かな。」

四重奏のリーダーであるブレーメンが先行を志願する。


「よし、それでいこう。」

ギルドマスターが決断し、作戦が決行されるようだ。


ステラは力業すぎでしょと内心思っていた。


「魔攻力頼む。」


「おう。メソフォティア。」


魔攻力が唱えた火魔法が見張りのオークに向かって着弾する。

ここでダインが、

「なあ、魔攻力が放った火魔法、しょぼすぎないか。」


ステラが答える。

「おそらく彼らの最大魔法攻撃だと思うよ。」


「こんな時に嘘つくなよ。あれはオークを炙り出すために使った遊撃だよな。」


「・・・エーギルさんとユーギルさん、ブレーメンがオークの巣へ向かったわ。

 後方支援なんだから、彼らの戦いを見といた方が良いわ。」

ステラが冷静に戦況を伝える。


ここで、ステラが、

「後ろから攻撃が来るわ。散開して。」


後ろから10体のオークが鉈を振るってくる。

双翼の剣のメンバーが怪我をしている。


ギルドマスターが、

「嘘だろ。巣からもオーク10体が出てきた。

 俺達、挟み込まれたぞ。」


更に後方からオークロードが現れ、カーツさんに鉈を袈裟切りに振り下ろす。

カーツさんから鮮血が飛ぶ。

マルコさんが叫ぶ。

「カーーツっ。」


ステラはこのままだと瓦解すると思い、ダイン達に声を掛ける。

「このまま分断してると壊滅するから、ダイン達は私につかまってくれるかな。」


「「「「こうか。」」」」


「うん。行くよ。〈メタスタシス〉。」

転移魔法を使い前線でオークと戦っているエーギル達の下に転移する。

転移したと同時に、「ホリゾン。」結界魔法を展開する。


「ダイン達はこの結界の中に居てね。」


「おい・・・。」


「メタスタシス。」

ダイン達の返事を待つことなくステラはギルドマスター達の下に転移していった。


「マルコさん、カーツさんの手を握ってください。」

ステラはオークに切り付けられた双翼の剣のメンバーを掴むと転移魔法を使って、ダイン達がいる結界の中に転移する。


「マルコさんがギルドが支給した治癒ポーションを持ってる筈ですよね。」


「ああ、持ってる。」


「それを使って、負傷者の治療してください。」


「分かった。」


私は、再度、ギルドマスターの下に転移し、魔攻力、四重奏、ギルドマスター、アインツさんを結界の中に移動させた。


「今回参加したメンバーはこれで全員ですよね。」


「ああ。撤退するしかないな。

 オークロードが、ここまで組織的な指揮ができるなんて・・・想定外だ。」


「撤退しても、倒さなければならないのは一緒でしょ。

 討伐隊のメンバーが仮に増えたとして、それで倒せたとしても犠牲者がたくさん出るかもしれない。

 であれば、ここで討伐しちゃいましょう。」


ギルドマスター訝しんで私をみる。

「方法があるのか。」


ステラは不敵に嗤う。

「フフフフフ。」

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