第15話 報酬の分配

ステラはギルドマスターの執務室を出ると、ボルタ、ナミ、アイル、グレタのそれぞれ銀貨を4枚ずつ渡す。

「「「「えっ」」」」


「ステラの分が2枚少ないじゃないか。」

ボルタが不満を露にする。


「だって、今回、私は魔法使ってない。」


「討伐したのはボルタ達だよ。

 私は指揮しただけだし。」


「その指揮があったからこそ、無事に討伐できたんじゃないか。」


「うーん。実際、私が居なくても何とかなったんじゃないかと思ってるんだけど、まあいいや。」


「「「「良くない。」」」」


「まあまあ。

 それよりも市場に行って、今日の晩ご飯の食材を買いに行こうよ。」


アイルがボルタに声を掛ける。

「ボルタ、ステラは頑固だから何言っても無駄だよ。

 今は、ステラが居なくなっても、俺達だけでも討伐できるように、ステラから学べるものを盗み取ることに注視しようよ。」


「くそっ、そうだな。アイルの言うとおりだ。」


「すみませーん。このコケッコの肉塊を2つください。」

ステラは肉屋で店主に注文している。


「毎度、お姉ちゃん。1つ3,000ゼルだから2つで6,000ゼル銅貨6枚だ。」


「はいどうぞ。」

銅貨6枚を渡し、商品を受け取る。


隣のお店に行き、店主に声を掛ける。

「すみませーん。

 このキノコとオニオン、キャロット、ポテート、小麦粉をください。

 ミルクとバターがあったらそれもください。」


「お嬢ちゃん、待ってな。」


「はい。」


「これで良いか。」


「はい。」

小麦粉はこんなに要らないが、そのうち何かに使えるだろうとステラは安易に考える。


「全部で銀貨1枚で良いぞ。」


「はい、どうぞ。」

この世界、バターは高級品だ。

本当はチーズも欲しいが我慢する。


「おじさん、ありがとう。」


最後にパン屋へ行き、黒パン40個を買って、孤児院に戻る。


孤児院に戻るとすかさず厨房へ行き、ステラは調理の準備を始める。

下準備として、オニオンはいちょう切り、コケッコの肉、キノコ、キャロット、ポテートは一口大の大きさに切る。

下準備が出来たら、鍋を加熱し、そこにバターを一塊落とし、そこに小麦粉を少しづつ投入しながらゆっくり掻き混ぜる。ここにミルクを加えて掻き混ぜるとベシャメルソースの完成だ。

ここで、一旦火を止め、先程切り分けた食材を塩コショウで炒めて火を通しておく。

最後に、ベシャメルソースの中に炒めた具材を投入し味を調えればクリームシチューの完成だ。

味見をしたが、うん、私の記憶にあるクリームシチューの味だと思う。

「みんな~、ご飯ができたよー。」


「わーい。」

「ステラお姉ちゃんありがとう。」

「今日もすげぇ良い匂いがするぞ。」

孤児達の反応も十人十色だ。


「さあ食べよう。いただきます。」

今日も今日とて賑やかな晩御飯の光景であった。 

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