第14話 調査依頼

オンブルギルドマスターカイゼルドラードは、ステラ達が執務室を退出したのを確認すると、ガルボに話しかける。

「カイゼル、オークの件、お前はどう思う?」


「不確定だが、オークの巣がある可能性があるな。」


「お前もそう考えるか。」


「調査隊を組むべきだろう。」


「今、Aランクパーティが不在だからな。」


「Bランクパーティの勇者の集いはダメか。」


「斥候のアインツの実力は認めるが、他のメンバーがな。」


「調査依頼だから、アインツの能力があれば良いじゃないか。」


「他のメンバーがな、実力不足だからな。」

『勇者の集い』のメンバーは、斥候アインツ(Aランク)、前衛アロンゾ(Cランク)、重騎士カーツ(Cランク)、ヒーラーのマルコ(Bランク)、魔法士ゲイツ(Cランク)の5人のメンバーで構成される。

リーダーであるアインツが司令塔として優秀だったため、Bランクパーティとして認められているが、明らかに戦闘力が劣るのが現状だ。

もし、オークの巣が実際にあり、戦闘になった場合、速やかに逃げられなければ、『勇者の集い』は簡単に瓦解するだろう。

調査だけの依頼だと厳命すれば良いか。

考えがまとまったカイゼルがギルド職員に命ずる。

「アインツを呼んでくれ。」


「かしこまりました。」


ギルドの食堂で一杯やっていた『勇者の集い』に声を掛けるギルド職員。

「アインツ様、ギルドマスターが呼んでます。」


「カイゼルさんが?

わかりました。

 すぐ行きます。」


執務室のドアをノックするアインツ。

「コン、コン、コン」

「ギルドマスター、アインツです。」


「入れ。」


「失礼します。

 お呼びということで参上しました。」


「すまんな。アインツ。

 今日、ボアの餌場で、オーク3体が確認された。

 3体の討伐は終わっているんだが、オークの巣が出来ている可能性がある。

 『勇者の集い』でオークの巣がないか調査してほしい。」


「なるほど。」


「報酬は金貨5枚だ。」


「わかりました。お任せください。」


「感謝する。」


「明日の朝からで大丈夫ですか?」


「ああ、それで大丈夫だ。

 念のため言っておくが、調査依頼だからな。

 アインツは大丈夫だと信じているが、オークの巣を見つけたとしても決して攻撃しないでくれ。

 巣を見つけたのならば、速やかに戻って報告してくれ。」


「わかりました。アロンゾとゲイツには口を酸っぱくして言っておきます。」


「頼んだぞ。」


「はい。失礼します。」

アインツは食堂へ戻り、オークの巣の調査依頼をパーティメンバーへ報告するのであった。

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