第11話 カレーライス
店舗を出ると、ボルタ達が声を掛けてくる。
「ステラ、何でナイフを買ってくれたんだ?」
「私、そろそろ王都を離れようと思っているの。
ナイフはボルタ達への卒業祝いだよ。」
「えっ」
「ステラ、王都出て行っちゃうの?」
「うそ。」
「・・・。」
「みんなは気付いてないかもしれないけど、今のボルタ達はウンベラータ王国でも屈指の魔法使いになっているよ。
私が居なくても、みんなで協力すれば十二分にやっていける筈だよ。」
「そんなの信じられるか。」
「じゃあ、明日は狩りをしよう。
狩りをすればある程度実力が測れると思う。」
「そうなのか?」
「私は手を出さないから、物は試しでね。」
「わかった。」
「じゃあ、食材を買って孤児院に戻ろう。」
今日は、肉屋でカウの塊肉とボアの塊肉を買った。
それ以外にカレー粉、オニオン、キャロット、ポテート、米を買った。
何故かこの世界、米やカレー粉があるんだよね。
きっと女神クリスティア様は日本好きなんだろうね。
孤児院に帰ってくると早速調理の開始だ。
私は水魔法を使って米を研ぐ。
研ぎ終わった米を鍋に入れ水を注ぎ、手首程の高さになったら中火で米を炊き始める。
続いて、買ってきたカウ肉とボア肉の塊を風魔法で細かく切り刻んでミンチ肉にしていく。
その後、買ってきたオニオンのうち2個ほど微塵切りにし、残ったオニオンとキャロット、ポテートを一口大に切り分ける。
これで下準備は終わった。
早速、鍋に油を敷き、オニオンを炒めていく、飴色になったら、ミンチ肉を投入して、焦げないようにかき混ぜる。
全体的に火が通ったらそこに切り分けたオニオン、キャロット、ポテートを投入し、そこに水魔法で水を注ぎ、中火で煮こむ。
火が通ったら、カレー粉を投入し、更に煮込んでいく。
あと30分も煮込めば、ひき肉カレーの完成だ。
このカレーは私の前世での母の味だ。
久々に食べたくなったから作ってみた(笑)。
「あと30分でご飯だよー。
テーブルの上は片してね。
食器とスプーンの準備は誰がしてくれるのかな?」
「おいらがやる。」
返事をしたのはこの孤児院で最年少のニックだ。
「じゃあ、ニックお願いね。」
ニックが動くと他の子供達もつられてお手伝いをしてくれる。
神父様とシスターミラが近づいてくる。
「ステラ様、いつもすみません。」
「気にしないでください。
私も孤児だったので、出来るときにできることをしてるだけです。」
「こんなこと簡単にできることではありません。
私はステラ様が聖女様ではないかと思っています。」
「私は聖女ではありませんよ。現に聖王国でクビ認定されてますから(笑)」
「しかし・・・」
「さあ準備ができました。食べましょう。」
孤児院に在籍する全員に食事が行き渡ったので、食事を始める。
「うまいなーこれ。」
「カレーっていう料理だよ。おかわりあるからね。」
「ステラお姉ちゃんが来てから毎日旨い料理が食える。
ずっと此処に居ろよ。」
「ごめんね。そろそろこの国を出ようと思っているの。」
「えーっそんなの嫌だ。」
「行かないでステラお姉ちゃん。」
子供たちが涙ぐんでいる。
「これこれ、ステラ様を困らせるんじゃない。」
「だって・・・」
「グスン、グスン・・・。」
「まだ2,3日は孤児院で寝泊まりさせてもらうから。
それに料理は作れないかもしれないけど、今後はボルタ達がお金を稼いでくれるよ。
だから食事には困らない筈だよ。」
「それはどういうことですか。」
「まあ明日になれば分かるよ。」
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