第10話 カイノス武具店

ステラとボルタ達は王都へ戻ってくると、冒険者ギルドの受付へ向かう。

「すみませーん。薬草の買取をお願いします。」


「ステラちゃん、おかえりなさい。」

「ボルタ達もおかえり。」


「ただいま戻りました。」

「ただいまー。」


「薬草の買取は、前回と一緒かしら。」


「「「「「はい。」」」」」


私は治癒草200本、毒消し草200本を出す。

ボルタ達もそれぞれ治癒草100本、毒消し草100を受付のお姉さんに出す。

この一週間ずっとこんな感じだ。

状態が良いので10本一束で治癒草3,000ゼル、毒消し草3,500ゼルで買取ってくれる。

私は130,000ゼル、金貨1枚銀貨3枚を、ボルタ達はそれぞれ65,000ゼル、銀貨6枚銅貨5枚をこの一週間稼いでいる。

私達はそれぞれ報酬を受け取り、冒険者ギルドを後にする。


「ねえ、ボルタ。」


「何だ、ステラ。」


「武器屋さんのお店を教えてよ。」


「いいぞ、こっちだ。」

中央広場の噴水を抜けて真っすぐ歩いて行く。

噴水を挟んで冒険者ギルドとは真逆の位置にお店はあった。


「ここだ。」

お店の看板にカイノス武具店と書いてある。


「ボルタ、ありがとう。」


「何を買うんだ?」


「ずっとシスターの格好という訳にはいかないから、冒険者用の服とナイフを買おうと思ってさ。」


「そうか。じゃあ入ろう。」


「カラーン。」

お店のドアに備え付けられているベルが鳴る。


「いらっしゃい。

 なんだ。ボルタ達か。

 残念ながら、お前たちに安く譲れる武器はまだ入荷してないぞ。」


「いや。

 今日はこのステラが冒険者服とナイフを購入したいというから案内したんだよ。」


ステラがすっと前に出てくる。

「こんにちは、ステラと申します。

 冒険者服とナイフを購入したいのですが、予算は金貨3枚でありますか。」


「俺はカイノスだ。

 シスター服を着ているってことは、シスター崩れかい。」


「そんなところですね。」


「苦労しているんだな。」


「ハハハハハ。」

乾いた笑い声で答える。


「金貨3枚ならそこそこ良いものが揃えられるぞ。

 これなんかどうだ。」

シンプルな肌色の冒険者服を見せられる。


「ナイフはこれなんかどうだ。」

魔鉱石で作られたちょっと大きめのナイフを見せられる。


「服には防御魔法が付与されている。

 ナイフは魔鉱石でできているから魔力を付与することもできる。

 ちょっと大きめにできているから武器としても使えるぞ。」


「この服はこの色だけですか。」


「いや、他に、黒、赤、青があるな。」


「じゃあ、青でお願いします。

 それとこのナイフをあと4本貰えますか。」


「それは構わないが、金貨5枚持っているのか。」


「はいこれ。」

金貨5枚をカイノスに渡す。


「あぁ毎度。ナイフ5本も買ってどうするんだ。」


「4本はボルタ達にあげます。」


「「「「えっ!!!」」」」


「お嬢ちゃん男前だな(笑)。」


「ハハハハハ。」


「よし、サービスで胸当て5個をやるよ。」


「カイノスさんありがとう。」


「良いってことよ。服は着ていくか。」


「はい。」


ステラは服を着替えて店舗を後にするのであった。

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