第9話 屑パーティ

「午後は薬草採取をしよう。

 みんなには結界の張り方を教えるから、魔力が持つ範囲で張り続けてみてよ。」


「結界を教えてくれるのか。やった~。」

ボルタがすごく喜んでいる。


こうして午前中は魔法の練習、午後は薬草採取をしながら結界の維持という訓練を一週間続けた。

今は魔力切れでぐったりしているが、治癒魔法を掛けるついでにボルタ達のステータスを確認してみる。


名前:ボルタ 11歳

種族:人族

魔力:50,000/50,000

魔法:火魔法、無属性魔法、生活魔法


名前:ナミ 11歳

種族:人族

魔力:32,000/32,000

魔法:水魔法、無属性魔法、生活魔法


名前:アイル 11歳

種族:人族

魔力:47,500/47,500

魔法:土魔法、無属性魔法、生活魔法


名前:グレタ 11歳

種族:人族

魔力:36,000/36,000

魔法:風魔法、無属性魔法、生活魔法


魔力がボルタとアイルは5倍、ナミとボルタは4倍に増えた。

おそらく一般の人の魔力上限は50,000位と言われているからボルタは上限かな。


「みんな~、かなり魔力が上がったね。」


「そうなのか?確かに以前と比べると疲れにくくなったような気がするけど。」

とボルタが答える。


「うんうん。ボルタとアイルは5倍、ナミとグレタは4倍に上がっているよ。」


「「「「そんなに!!!」」」」


「これで収納ボックスを教えられる。

魔力は最低でも30,000位ないとね。

今それぞれの魔力はね。

ボルタが50,000、ナミは32,000、アイルは47,500、グレタが36,000だよ。

おそらくボルタは上限に達している。

アイルも上限間近だね。

ナミとボルタも普通に魔法を使っていけば、2、3年で上限に達するんじゃないかな。」


「そんなことより、収納ボックスの作り方を教えてくれよ。」

とせっかちなボルタががっついてくる。


「はいはい、わかりましたよ。

 と言っても簡単だよ。

 みんなに結界魔法のやり方を教えたよね。

 実はその応用なの。

 今、結界魔法で自分自身の体を覆っているでしょ。

 それをもう一個、今度は収納ボックスという形をイメージして体にまとうのではなくその箱を腰に維持する感じかな。

 モノは試しでみんなやってみて。」


「あっできた気がする。」

ボルタはセンスがあるからすぐできたようだ。


「四角いイメージが難しければ、革袋をイメージしても良いよ。」


「革袋か?あっできた。」

「僕もできた。」

「私も。」


「みんな成功したみたいだね。 

 あとはそれを維持する癖をつけてね。

 最初の頃は、少ない量から始めることをお勧めするよ。」


「わかった。」

「わかったわ。」

「俺も分かった。」

「私も分かったわ。」


「じゃあギルドに戻ろう。」

私達は王都に戻るため森の中を歩いていると、以前見たことがある噂の屑パーティと遭遇する。


「アイル、お前、足に大きな怪我してたよな。

 なんで治ってるんだ。」


「アイル無視しろ。」

ボルタがアイルに怒鳴る。


「ボルタは黙ってろ。

 俺はアイルに聞いている。

 別に、お前達と最近一緒に行動しているそこのシスターの格好をしている女に直接聞いても良いんだけどな。」

 リーダーらしい奴が何か言っている。


「あーめんどくさい。」


「ステラどうしたんだ?」ボルタが戸惑った表情で私に声を掛ける。


「ボルタ達は静かにしてて。」


「・・・・・・。」


「屑パーティーのお兄さん達、私はあんたらがアイル達にした仕打ちは絶対に許さない。

 今すぐ細切れにしても良いんだけど・・・。」

急激にステラの周りの魔力が膨れ上がっていく。


これに慌てた屑パーティのリーダーらしき人物が、

「待ってくれ、俺たちが悪かった。

 今後、接触しないと約束するから見逃してくれないか。」


「無理。

 私は鑑定ができるから、あんたらが何を企んでるかもわかるんだよね。

 だからボルタ達が感じた絶望をあなた達にも教えてあげる。

 あなた達には北大陸にでも行ってもらおうかしら。

 <メタスタシス>」

 私は瞬間転移をし、屑パーティのメンバーに触れながら転移魔法でメンバー全員を北大陸に転移させる。

 そして自身も北大陸の屑パーティの近くに転移すると、屑パーティに言葉を発する。

「ここは北大陸の端にある平原よ。

 運が良ければここで生きていけるかもね。

 幸運を祈るわ・・・グッドラック。」


「待ってくれ。」


既にステラは転移した後なので回答をしてくれる人は既にいない。



ステラはボルタ達の下に転移で戻ってくる。

「あいつらはどうしたんだ。」


「殺してないよ。

 北大陸の平原に捨ててきた。

 運が良ければ生き残れるかもしれないけど、あの大陸は実力がない奴はすぐ死んじゃうから難しいかもね。」


「・・・・・・。」


「さあギルドに向かおう。」


「おう。」

ボルタ達は返事をしながら、ステラとは絶対に敵対しないと心に誓ったのであった。

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