第6話 孤児院

「ボルタたちはこの後どうするの?」


「本当は、今日の冒険者パーティの補助で少しはお金がもらえる予定だったんだけど、まさか囮に使われると思ってなくて・・・。」

とボルタは俯く。


「まあ今後その屑パーティとは関わらない方がいいよ。」


「そうだな。」


「どこに住んでるの?」


「俺たち孤児院出身なんだ。

 本来、孤児院を独り立ちしている歳なんだけど、

 稼ぎが少ないから孤児院にまだ寝泊りさせてもらっているんだ。」


「そっか。一度、その孤児院に付いて行って良いかな。」


「良いけど、雑魚寝になるし、食事は期待できないぞ。」


「いいよ。でも、孤児院に向かう前に市場を見たいから案内してよ。」


「それは構わないが、武器屋は良いのか。」


「今日の稼ぎでは良い武器は買えないと思うから、後日にするよ。」


「良いならいいが・・・市場だな。」


ステラはボルタ達に案内され市場に到着した。

ステラは市場を一通り歩き、買う物の目星をつける。


「ねえ、ボルタ、孤児院の子供たちと神父様たちは何人いるの。」


「子供は15人、後は神父様とシスターが一人ずつだ。」


「そっか~。」

ステラは買う物を考える。

そして、肉屋に向かい、店主に声を掛ける。

「すみません。このボアの塊肉を2つください。」


「はいよ。一つ5,000ゼルだから10,000ゼル、銀貨1枚だな。」


「はいこれ。」


「まいどー。

 包むからちょっと待ってな。

 はいどうぞ。」


「ありがとうございます。」


ステラは肉屋の次にパン屋へ向かう。


「すみません。黒パンを50個ください。」


「いらっしゃい。1個100ゼルだから5,000ゼル、銅貨5枚だ。」


「はいどうぞ。」


「包むから待ってな。」

ステラは黒パン50個が入った紙袋を受け取る。


「じゃ孤児院へ行こう。ボルタお願い。」


「ステラ、もしかして・・・。」


「うん。みんなで食べよう。」


「ステラ、すまん。」


「宿代と思ってよ。」

ボルタはステラを案内して孤児院に到着する。


ボルタ達は孤児院の神父とシスターに声を掛ける。

「ただいま戻りました。

 神父様、シスター、今日は森で助けて貰ったステラを孤児院に泊めたいんだけど。

 良いかな。」


神父が答える。

「泊まるのは構わんが、孤児と一緒に雑魚寝となるが、良いのか。」


「ステラと申します。雑魚寝で構いません。」


「ステラさんはシスターの格好をしているが、シスターかい?」


「シスターをクビになったんで、元シスターですね。

 今日から冒険者になりました。」


「それは失礼なことを聞きました。」


「気にしてないので大丈夫です。

 お願いがあるのですが、今日、少しですが、食料を購入してきました。

 その食材を使って料理を作っても良いでしょうか。」


「それは構わないが、良いのか。」

神父は申し訳なさそうに答える。


「宿泊代代わりと思ってください。」

ステラは尤もらしい物言いで神父たちを納得させる。


「ボルタ、キッチンに案内してよ。」


「わかった。こっちだ。」


ステラはキッチンにやってくると、収納ボックスからボア肉の塊を2つ取り出す。

「ここにある鍋とか勝手に使って良いかな。」


「良いぞ。」


「じゃ作っていくね。」


先ずは、風魔法〈マイクロアエラス〉で肉塊をスライスしていく。

ボールに一口大の薄切り肉が山積みとなった。

鍋に生姜擬きの微塵切りと油を敷き、中火で軽く炒め、その中に薄切り肉を入れていく。

そこに塩を振り掛け、ゆっくり掻き混ぜていく。

全体に火が通れば、薄切りボア肉のポークジンジャー擬きの完成だ。

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