祝福を。そして、奇跡を。
- ★★★ Excellent!!!
四十年の長きに渡り人々に感動と憩いを
提供して来た美術館が閉館する。
美術館がなくなるのは文化の死をも
意味する。明日には取り外される絵画との
最期の刻を一枚一枚、確りとその目に
焼き付ける。
最後の館長である彼は、とある二枚の
絵画の前で足を停める。
それは、
美しい王女の絵。 銀の鎧の騎士の絵。
時代こそ同じであろうが、全く別の画家の
手によるこの二枚の絵画は、彼の中では
対を成すものだった。
とても静謐な、美術館の光と影が溶け
深い感動を齎す物語。
彼は一体そこで何を見て何を聞いたのか
夢であるのか、現であるのか。それは
彼自身にも分からない。
けれども。
若い騎士は王女を守る事を無上の喜びとし
そして、守り切った。
それを奇跡と呼ばずして
一体、何と表現すれば良いのだろうか。