不思議な二人称の物語。主人公は、自分。
大きな木のウロに それ はいた。
不恰好な石を届けると、キラキラとした
美しい石へと生まれ変わらせてくれる。
それは自分を幸せにしてくれた。
価値のない物と思い、持ち込んだ石を恰も
宝石の様に輝かせてくれる、そのモノは。
あくまでも、自分自身が主人公の物語。
然も無い石を、美しく生まれ変わらせて
くれる事で、自分も何か御礼をしたいと
思う。だが、そのモノは御礼は不要だと。
只、花が好きなのだと知れる。
自分は、道端に咲く花や、花屋で買った花
そして種から育てた花を石と一緒に持って
行くのだが…。
不思議なファンタジーでありながらも
とても現実的な物語だ。
そこに読者は寓話的な意味を見出したり
童話的な優しさに触れたりする。
小説の作法としても非常に秀逸な作品。