出会い

まだ背丈も小さく、雷電は母の背後から顔だけ出していた。

その日、春の柔らかな光が土間を照らす中、戸口に影が差す。

「薬草をお持ちしました」

優しい声と共に、白髪を後ろで束ねた老女が入ってきた。村で薬草を栽培している星(セイ)麗(レイ)カコ、であった。その手には籠があり、中には香りの強い薬草がぎっしりと詰まっている。

老女の隣に、小さな女の子がちょこんと立っていた。

栗色の髪に、陽の光が反射してきらりと輝く。

その瞳は、不思議なくらい澄んでいて、雷電をまっすぐ見つめた。

「この子はね、私の孫雲母(キララ)(だよ私の娘である母親が事故で亡くなったから一緒に住むことに成ったのだよ」

それを聞いたエリシアは

雲母を抱き寄せ抱擁し「何か困った事や悲しい事が有ったら直ぐ私の処に来るのよ」たまにはご飯も食べに来るのよと言いぎゅっと抱きしめた。

「ありがとうございます叔母さん」と雲母(キララ)は言い亡き母を思い出したのか両方の眼から大粒の涙を流していた

それを見た雷電がハンカチで涙を拭いてやり、前にもこの様な事が有った気がすると思った

あら気が利くじゃない流石は私の息子!優しいわと思った

「こんちわ」俺は雷電

ほんの短いやりとりだったが、二人の間に流れた空気は、不思議と温かかった。

雲母の祖母が雷電の母と薬草の話をしている間、雷電は土間に置かれた積み木をキラに差し出した。

「これ…で遊ぼうぜ!」

キラはにっこり笑って、その小さな手でカラフルな積み木が入った箱を受け取る。

雲母は赤い円柱状の積み木を縦に置き柱の様にしてその柱を渡す様に間に長方形の赤い積み木を横にして置いた。「にこれは何?」とキラに何か尋ねたら、「お家、昔此処に住んでいたのと言っていた」がキラの家は神社では無く普通の家だった


続いて茶色の細長い長方形の積み木を縦に置きその立てた積み木の間に幅の広い積み木を置いた。

これは何?とキラに尋ねたら「木で出来たお馬さんで、中に大勢の人が入っているの!」と言っていた

続いて白い円柱状の積み木を等間隔に立てその円柱を橋渡しするかの様に長方形の積み木を渡し、その上に白いい三角形の積み木を置いた

見た事の無い形状に「これはなに」と雷電が尋ねた

「アポロン様の神殿、昔居たの」と雲母は言った

組まれた積み木を見てそれを聞いた雷電の心の奥底が揺らされ、何かが浮上しそうな感覚に襲われたが、直ぐに思考の海に没してしまった。

ああ、知っている。

それを思い出せないことだけが、胸を痛めた。

外では風がやさしく庭の薬草を揺らしていた。

まだ自分自身の気持ちすらおぼつかない年齢なのにその瞬間からもう――何か見えない糸で結ばれたように感じていた。


外では風がやさしく庭の薬草を揺らしていた。

まだ互いの名前すらおぼつかない年齢なのに、雷電と雲母は、その瞬間からもう――何か見えない糸で結ばれたように感じていた。

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