第28話 VSサイクロプス① 増援
剣を構えた俺に向けて再度サイクロプスはその腕で先ほどと同じように攻撃をする。
「グギュオオッ!!」
「さっきと同じような攻撃……簡単に当たるかよ!」
俺はそれを確認した瞬間、後方に飛んで回避した。
「はあっ!」
すぐにその下された腕に剣をぶつけるが、やはりダメージは受けていないように見える。
「グギュルオァァァ!!」
「ちっ……!」
それを受けたサイクロプスが腕を構えたため、俺は一度後方へ移動した。
(攻撃は通らないし、どう俺はこいつに勝とうか……)
そう、俺が悩みを頭に浮上させた瞬間、サイクロプスの腕は俺の目の前にあった。
「——っ!」
(ちょっと目を離した隙に!!)
そう俺がピンチになった瞬間、つい少し前、本日中に聞いた声が俺の耳に届いた。
「サンダー!」
サイクロプスに放たれたそれは、俺の元にそいつの攻撃が届く前に撃った。
その雷がサイクロプスのダメージになったかと言うとそうでもないが、一瞬、そいつの気を引いた。
その瞬間に俺は距離を取り、その声の主の元へ向く。
「あの人は……!」
そこにいたのはカイラ・フェロウズ。俺のこの闘技イベントでの記念すべき一回戦の相手である。そんな彼女が観客席からスキルをサイクロプスに向けて撃ち込んでいた。
さらにそこを見ていると、そこからかなりのスピードで飛び降りてくる全身にオーラを纏った少年がいた。
「智也さん! それとそちらの方! これを使ってください!」
そのまま彼、トレサ・ダントカーはこちらに走ってきて両手に持つ回復薬を俺とセツナに手渡す。
「トレサ! ありがとう、めちゃくちゃありがたい!」
「あ、ありがとう。えっと、トレサさん……?」
セツナはトレサからそれを受け取り、彼が誰か知らなかったからか俺が言った彼の名前をそのまま流用して礼を言う。
「そちらの方、私のことはトレサで、敬語は使わなくて大丈夫です。私はあのモンスターの相手をしますので、二人はゆっくりと回復を!」
「うん、分かった……。それとトレサ、私のことはセツナでいいよ」
「分かりました! セツナさん!」
「さんもいらないんだけど……」
そんなセツナの言葉がすでに届かぬところまでトレサは走っていた。
「ま、トレサはそんな感じのやつだからさ」
セツナに対してそう言った俺は、彼から受け取った回復薬を口に含んだ。
(とはいえトレサ一人でサイクロプスを相手できるかと言えば難しいだろう。一応カイラも観客席からの援護をしてくれているみたいだが、それでも……。うん、とっとと回復して前線に復帰しないといけないな)
———
「ここからは私が相手ですっ!」
そう言って私は全身武装を使用したままそのモンスターに蹴りを叩き込み、正面に立つのだった。
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