第24話 警戒すべきスキルとは
「——っ、なんでそれが……」
俺の言葉を耳に入れた彼女の表情からはあからさまな動揺が見える。
「別に、剣聖みたいなすごい天職のスキルくらい把握してるってだけだよ」
俺はそんな彼女にそう言ったが、彼女はその言葉を信じてはいないらしい。
(ま、あからさまな嘘はバレるか。適当言っただけだしなあ。
さて、それはそれとしてセツナの天職は剣聖。俺の知識があれば対策は立てやすい)
そうして俺は両親に叩き込まれた剣聖の知識を思い返す。
剣聖がレベル30までに習得できるスキルはさっきのクロスセイバーに加え、デュアルウェーブ、
この中で特に警戒すべきスキルは桜花爆連斬、速度上昇、筋力上昇の3つ。
速度上昇と筋力上昇はその名のとおりスピードが上がるスキルとパワーが上がるスキル。もともと他の天職よりもステータスの高い剣聖のステータスがさらに上がるのならばそれはもう驚異的な強さとなるだろう。
そして桜花爆連斬。こいつは修行の過程で父に何度も見せられ、さらに何度か受けたことのある技。
(だからこそ対策の仕方も分かっている!)
動揺してあんぐり口を開けていたセツナはひとまず落ち着いたのか、剣を構える。
直後、彼女は大地を蹴り上げ、凄まじい勢いで走り出した。
「
そのスキルを使ったセツナのスピードは魔法使いの『サンダー』に匹敵、いや下手したら追い越してるのではないだろうか。それほどのスピードであった。
そんなスピードで俺に向かって一直線に向かってくる。
が、今のこのイベントを通して鍛えられた俺の目と予測ならそれに反応することができる。
「はあっ!」
十分に俺に剣が届く位置に訪れた時、セツナの剣は俺の体めがけて振るわれた。
「はっ——!」
俺はその攻撃に合わせて剣を動かし、受け流す。
瞬時に脚を動かし、セツナの背後に回り込む。
「——デュアルウェーブ!」
「ッ!! がっ……!」
背後に移動する俺を確認したセツナは、身体をくるっとひねり、スキルを発動した。
それによって生み出された二重の波のような物が俺の身体に衝突し、ドオォオンッ! という轟音が鳴り響くのと共に俺の身体は後方に勢いよく吹っ飛ばされる。
「がふっ……!」
身体が壁に打ち付けられ、俺は吐血する。
(速度上昇のせいで、セツナが俺に反応してからのそれに対する行動が速い……! 攻撃をするのはなかなか難しいか……)
そう考えながらも俺は顔を上げると、前方から俺に向かってくるセツナの姿が見える。瞬時に体制を立て直し、自己暗示を使いスピードを高める。
「私の天職がわかっていようと反応はできないみたいだね!
セツナのスキルで強化されたクロスセイバーが飛んでくるが、俺はそれを横に移動することで回避する。
「——サイコクラッシュ! ねんりき!」
俺は俺に向かって真っ直ぐに突っ込んでくるセツナの進路にサイコクラッシュを置く。
当然セツナはそれに当たらないように横にずれる。が、俺はその動きを予想して先にねんりきをそこに向けて打っていた。
「パワー爆発!」
セツナはそのねんりきさえも身体をそらして回避するが、通り過ぎたねんりきは俺のスキルで爆発し、その爆発でセツナの身体は吹き飛ばされ、セツナは体制を崩す。
(まだ自己暗示は残っている)
俺は残された自己暗示の時間を使い、セツナとの距離を一気に縮める。
「サイコエンチャント!」
俺は剣にサイコパワーを付与してセツナに剣を振るった。
カン! そんな音が響き、俺の剣は彼女に受け止められる。
そのまあ俺の力はパワーが上がった剣聖の力に負け、彼女が剣を押し出すことで俺は突き放される。
俺が隙を作った、と同時に彼女は再度構え、そしてそのスキルを俺に向かって発動した。
「桜花爆連斬!」
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