第10話 ヘルバードとの戦い 決着
俺は地面でグッと剣を構える。そんな俺に向かってヘルバードは、背中から生えたその大きな翼を大きくはばたかせる。翼が風を勢いよく押し出すことで俺に向かって突風が巻き起こった。
(くっ……! なんちゅう威力だよ!)
俺は手に持っていたその剣を地面に突き立て、力いっぱい握る。体が飛ばされないように、俺はなんとか剣を掴んで踏ん張る。ようやくその風が止んだので俺は反撃の姿勢を取る。
「ふう……。やつの突風は危なすぎるな。下手したら山頂から一気に落ちてしまうかもしれない」
(こいつの突風には気をつけなければならないな。まずは翼から潰すか)
そう思った俺はスキルを発動してヘルバードに攻撃をする。
「ねんりき!」
そのねんりきはヘルバードに向かって突き進んでいく。そいつは身を逸らしてそれを回避しようとするが、消耗しているのか左翼に俺のねんりきは命中する。
これによってもう、やつの左翼はボロボロだ。先ほどのような突風は吹きおこることはないだろう。ということはもう突風に気をつける必要はない。
翼が潰されたヘルバードの行動はタックルだけだろう。そして俺はクールタイムがあけた自己暗示を発動し、その幻想を具現化するのだ。
『俺の攻撃力は剣聖をも凌駕する』!!
やつの体はまっすぐこちらへ向かってきている。俺の考え通り、タックル以外に攻撃手段がないのだろう。
そんなヘルバードを狩るため、俺はその手に強く握った剣を前に突き出す。
そしてその剣は、勢いよく突撃をしてきたその赤いカラダを貫く。
それにより、赤いカラダの突撃は止まるのだった。
俺はレベルが大幅に上がり、レベル20となった。そんな俺の目の前に2つの文字が映し出される。
そこには『サイコエンチャント』と『テレポート』と映し出されていた。
「スキル名らしきものが横並びに。これは……どちらかを選べってことなのだろうか。となるとどっちにしようかなぁ。今後の戦闘生活にはかなり関わってくるだろうしなあ。俺テレポートの内容ならある程度予測できるけど。有名だし。けれどサイコエンチャントはまったくわからないんだよなあ。名前から」
いや、だからこそだ。未知だからこその面白さがある。
少し迷い、そう判断した俺はサイコエンチャントの文字に指を動かすのだ。
その直後、俺は重要なことに気がついた。
(……というよりも忘れていた! リコは一体どこに!)
そうしてあたりを見回すと斜め前の岩から帽子の先端のような三角形飛び出ていた。あの帽子はまさにリコのものであるため、俺はその三角形に声をかけた。
「おーい、もうでてきていいぞー大丈夫かー」
すると3つのタマゴを抱えたリコが岩の後ろから出てきた。みた感じ傷はない。巻き添えは喰らわなかったようだ。途中忘れていたとはいえ護衛の任務は成功と言えるだろう。とはいえ一応心配しておこう。俺は優しいのだ。
「大丈夫か?」
そう声をかけるとリコは答えた。
「大丈夫、問題ない。あとはここから帰るだけ」
(はあ、そうだった帰り道があるんだった。ここでもし彼女に傷をおわせて、俺の30000ゴールドがなくなってしまったら困る)
そう考えた俺は、全力で周囲を警戒しながら帰路をたどるのだった。
そうして街につくと俺はリコに報酬の支払いを求める。
「護衛は完璧だろ?とっとと30000ゴールドよこしてくれよ」
リコはまるで汚物を見るような目でこちらを見つめながら答える。
「わかった。お金は家にあるからついてきて」
...いきなりお家デートに誘われてしまった。その中身は金を取りに家を訪問するだけなのだが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます