プレゼント - 4
天夏ちゃんのプレゼンが終わった後、僕と春ちゃんはそれぞれ店内を歩き回った。
別々になって棚を見て回る僕たちに、天夏ちゃんも同行した。最初は僕といっしょに見て回って、次に春ちゃんのところに行って、ちょっとしたら戻ってきて、またちょっとしたら春ちゃんの方に、と言う感じで行ったり来たりしていた。
そんな行動を続けていると、春ちゃんが僕の方にやってきた。その時の天夏ちゃんは、僕といっしょにいた。
「おい、俺決めたから来てくれよ」
春ちゃんは何気なく言った。
それに対して、僕と天夏ちゃんはお互いに顔を見合わせた。春ちゃんが二番目にプレゼントを決めることが出来ることが意外だったのだ。春ちゃんには悪いけど、投げ出すんじゃないかという気もしていた。
春ちゃんに着いて行った先にあった棚には、入浴剤が置かれていた。入浴剤五袋詰め合わせセット、値段は千五百円。パッケージに『はむはむ』のキャラクターがプリントされている。
何だか意外なチョイスだ。
「俺はこれが良いと思う」
春ちゃんは言い切った。
「理由は?」
「まあ、今の季節考えたら丁度いいだろ。場所取るもんじゃねえから貰っても困らねえだろうし、いくつかあるから他の家族も使えるだろうし」
僕と天夏ちゃんは、「おー」と声を合わせた。意外にもしっかり考えられている理由に感心してしまった。
「確かに、これから寒くなるしいいプレゼントかも。やるじゃん春馬」
「うるせえ」
春ちゃんは照れくさそうにそっぽを向いた。
「うん、僕もいいと思うな」
僕が言うと、さっきと同じように天夏ちゃんは不満そうにこちらを見てきた。
加えて、春ちゃんまでもが僕に対して怪しむような目を向けてくる。
「な、なに?どうしたの」
二人からの視線に耐え切れず、僕は言葉を漏らした。
「さっき天夏が言ってたこと、何となく分かった」
「でしょ?何だかやる気が足りないって言うか、人任せっていうか」
春ちゃんと天夏ちゃんが同調するなんて、中々珍しい光景だ。その理由が、僕の態度というのはちょっと複雑だけど。
「とにかく、最後は俊彦だね。ちゃんと考えてよ」
「う、うん」
「昼までに終わらせろよ」
「急かすことないでしょ」
先ほどの同調はどこへやら、二人はいつもの感じに戻った。
そんな二人を見ながら、僕はひそかにプレッシャーを感じずにはいられなかった。
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