第2話 『家族』

 私は二階に上がり、制服に着替える。


 私の通う高校は校則がゆるゆるで、服装をアレンジしてもいい。


 基本的には茶色で青のラインが入ったセーラー服みたいな白のブラウスに、薄黄色のリボン。これにも青のラインが入っている。薄茶色のベストは金色のボタンで留めるようになっていて、同じ薄茶色のスカートは黄色と青と茶色のチェック柄。


 という感じなのだが、人によってはブラウスではなくをTシャツを着て、ベストを着てなかったり、リボンをつけてなかったり、リボンの代わりにスカーフにしていたりと人によって多種多様だ。


 私は制服をアレンジすることはない。


 おしゃれがそもそもわからないため、アレンジをすることさえ思わないからだ。


 私は自分の部屋の真ん中の机に置いている、鍵付きのボックスをポケットに入れていた、銀の鍵で開ける。

 カチっという、小さな音がした。


 茶色とピンクの可愛いらしいボックスには一つしかものが入っていない。


 それはピンク色の普通のビーズより、一際大きいビーズが一つ付いたネックレスだ。


 これはある人から小さい頃に貰ったもので、なんだか離身離さずに身につけていないといけないと思ってしまう。だから、今日も身につけた。


 机にスクールバッグを置いて、準備が完了したら、母に呼ばれた。お決まりにセリフで。


「ご飯ができたから、降りてきて」


 私は「はい、わかりました」と返事をして、部屋を出て、一階のリビングに向かった。


 私がリビングに着くと、机には朝ごはんが置かれていた。


 黒髪に焦茶の瞳のザ・日本人みたいな見た目のした三十代後半の男性、父——宮下緑みやしたりょくはもう食卓に着いていた。


 父はペットショップで働いており、謎に動物に好かれる不思議な人だ。

 前に動物園に行ったときなんて、ふれあいコーナーのうさぎに物凄く好かれすぎて、他の人がふれあいないほどだった。


 私も席に着くと、サラッサラストレートの黒髪に黒の瞳で真っ白い肌をした美人の三十代女性、母——宮下聡月みやしたさつきは私の前にレモンが入ったヨーグルトを置いた。


 母、と言っても私と母は血は繋がっていない。母は継母だ。

 私と血が繋がっていた母——宮下真緒みやしたまおは五年前他界している。死因は事故死だった。

 この髪も亡き母からの遺伝だが、今の母は私の髪もきにせず愛してくれている。


 そんな母は亡き母と同じでジュエリー関係のお仕事をしている。亡き母はデザイナー、今の母は鑑定人だ。


 なので両者とても宝石に詳しく、時々気になった宝石を尋ねたりしている。


「愛美ちゃん、よく寝れた?」


 母はそう言って席に着く。


「あ、はい。多分」

「そう、今日も気温が高いから、熱中症にならないでね?」


 母は少し微笑んで言った。多分心配をしているのだろう。


「わかりました。気をつけます」


 私は愛想がなくいう。


「うん、気をつけてね」


 母は気分を害しておらずずっと笑顔だった。


「では、いただきましょうか」


 そう言って私と母は朝食を食べる。


 今日はトースト一枚に苺ジャムが塗ってある。ウインナー二本と目玉焼きにキャベツとトマトのミニサラダ、それとヨーグルトついてある。

 何故か今日の朝食は、


 食べ終わり、自分の食器を片付け終わると、母に今日のお弁当を渡された。


「はい、忘れないように気をつけてね」


 そう笑顔で言って、母は片付けに戻って行った。


 私は二階に上がって、スクールバッグにお弁当を詰めた。


 スマホで時間を確認して、天気予報を見る。


 今日も晴れ、折り畳みの傘もいらない。降水確率はひっくり返してもゼロ%だ。


 私はシンプルな白いスマホをスクールバッグに入れて、スクールバッグを肩にかける。


「行こう」


 私はそう言って、部屋を出る。


 昔特有の急な階段を下り、玄関へ向かう。


 そこで出迎えてくれるのは茶色の去年入学した時に買ってくれたローファー。


 踵が潰れないように慎重に履いて、二重にかかっている鍵を一つずつ下から上へと外す。


 私は小さな声で「行ってきます」と言い、外へ出た。

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