第26話「仲良し親子(?)」

「だっこ……!!」


 佐奈ちゃんが起きてすぐのこと。

 もう起きたのなら歩かせていいかな、と思い地面に下ろすと、頬をパンッパンッに膨らまし、とても不満げに見上げられてしまった。


 両手を広げ、抱っこ待ち状態である。


「ふふ……抱き癖を付けてしまいましたね。幼い子のお願いを断わったら、駄目ですよ?」


 そして、美鈴ちゃんは美鈴ちゃんでなぜか楽しそうだ。

 機嫌が良くなってくれているのは嬉しいけど、本当にいいのだろうか……?


 と、疑問を抱かずにはいられなかった。


 まぁ、寝ていてウトウトしていた時に抱っこした俺が悪いですね、はい。


「――えへへ……」


 抱っこをするなり佐奈ちゃんは、嬉しそうに顔を俺の肩に預けてくる。

 なんなら、すぐにスリスリと、俺の頬に自分の頬を擦り付けてきた。

 本当に、よく懐かれたものだ……。


「佐奈ちゃんは何に乗りたいの?」

「ん~? ぜんぶ……!!」


 美鈴ちゃんが何かを言う前に、俺は話題を切り替えたのだけど、佐奈ちゃんは耳元で元気よく教えてくれた。


 うん、鼓膜やられちゃうから、もう少し加減はしてほしい。


「全部かぁ」


 休日ということでやはり遊園地は混雑している。

 アトラクションも多いし、並ぶ時間を考慮すると、難しいかもしれない。

 それにこの遊園地は、アトラクション以外にも子供が喜びそうな施設が、いろいろとあるみたいだし……難しいなぁ。


「おにいちゃんなら、いける……!」

「うん、何その謎の信頼……?」


 なぜかドヤ顔の笑顔で、俺の顔を至近距離から見つめてくる幼女。

 俺は超人じゃないんだけど……?


 それと、メインに乗るのは君だから、君がいけないと意味ないよ……?


 と思ったけど、幼い子にそこまで言っても難しいと思い、やめておいた。


 とりあえず、俺が幼い頃からあった機関車シリーズのアトラクションが入場口近くにあったので、そこの列に並んでみる。

 こういうのは幼い子が好きだろう、という考えもあった。


 しかし――

「おにいちゃん、こういうのがすきなんだぁ……!」

 ――なぜか、俺が乗りたくてここに並んだと、佐奈ちゃんは勘違いしたらしい。


 どうして佐奈ちゃんが、俺がこのアトラクションが好きと思ったのかは、なんとなくわかる。

 一番最初に、この列に並んだからだろう。


 だけど、うん……君が全部乗りたいって言ったんだけど、もうその言葉を忘れたのかな……?


 そうツッコミを入れたくて仕方がなかった。

 クスクスと楽しそうに笑っている美鈴ちゃんの横顔が、実に印象的だったが。


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