第3話 「日課」


 私の変な友達は、非常におかしい。頭が悪いとかそういうことではない。むしろ頭がいい部類だ。


「やれやれ。この世は本当に楽勝だぜ」

「はあ」


 まるで周りより優れているかのような口ぶりで話始める。


「今回も中間テスト学年一位だぜ」


 否、周りより優れていた。


「うざ」


 これは決して妬みではない。褒めている。

 急にがさごそとカバンをあさり始めた。


「え、出さなくていいって。うざすぎる」

「いいからいいから。遠慮しなさんなって」

 

 遠慮なんてしてない。これ以上、私を惨めな気持ちにさせるんじゃない。

 私は、知らんぷりして、友達を追い越す。


「一抜けぴー」

「あぁ……私の一位の座が……」


 どさっという音が後ろからした。膝から崩れ落ちたようだ。


「一位をすぐに奪われるとは、なんと無様な」


 後ろを振り変えると、ぱさりと足元に何かが当たった。画用紙のようだ。


「ん」


 そこには綺麗な夕日が色鉛筆で繊細に描かれていた。


「うますぎ」


 背景と、同化しているように見える。

 ここに友達が立っていたら、見える景色は同じだったかもしれない。


「コンテストに……」

「いいじゃん!!!」


 コンテストという言葉を聞かずして前のめりに返事をした。

 私の友達は、頭だけじゃなく絵も上手いらしい。


「コンテストに出して、入賞したんだよね」


「……うざ」

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私の変な友達 MY @jkrmnp

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