さーど・みっしょん〈僕のタコチー〉

③-1


【タカ】て、–––––おいおい。トビ!



〈※トビがツバメの首っ根っこを捕まえてる間も、タカは部屋を漁っており、彼は何かを発見した。〉



【タカ】た、たいへんなものを発掘したぜ。これを見ろよ!

【トビ】なんだよ、忙しいな。–––––て。



〈※タカは押し入れから発見したスイカ柄の水着を掲げる。〉



【タカ】マ・ジ・か・よ。

【トビ】マ・ジ・だ・よ。



    アレ?

    様子がおかしいぞ



【タカ】でけぇ、マジでけぇぜ!

【トビ】なんだよ、コレ。マジでスイカ(サイズ)じゃねーか。


    

    急に僕への注意が逸れたし

    首のロックも外された

    何を騒いでいるの?



【タカ】うおおお! デカすぎる!

【トビ】スゲーぜ。おおおおおおお!



    またお胸のことかな?

    こいつらホントにおっぱいが好きだね



【タカ】本当にあるのかよ。この世にこんなもんがよ!

【トビ】あってはずがいいわけねぇろ、タカ! これは歴史的大発掘だよ。俺は感動した。マジで涙が出てくるよ。



    僕も成長すると

    あんなものに興味が出るのかな?



【タカ】(涙を流して)ありがてぇ。ありがてぇ。

【トビ】(涙を流して)ありがてぇ。



    ‥‥‥えええ。



〈※ツバメはドン引きする。〉


    

    そんなの

    やだな


    

【タカ】‥‥‥ん? でも、なんかコレ構造おかしくね。

【トビ】ホントだ。なんで中に変なもんが詰まってるんだ。



    あ、アイツら

    ひよこのアレに気づいたぞ。



【タカ】パッドみたいな。

【トビ】パッドみたいだよな。



    ‥‥‥‥‥。(二人をじっと見つめる)



【タカ】‥‥‥‥‥。

【トビ】‥‥‥‥‥。



〈※二人はしばらく停止する。〉



          ⚪︎



【タカ】マジうんこに(親指)

【トビ】マジうんこに(親指)



          ⚪︎



    ‥‥‥えっとね



【タカ】おっといけねぇ。気を取り直して行こうぜ。

【トビ】オーケー。


  

    彼女が何でそんなことを気にしていているのか

    よく分からないのだけれど

    


【タカ】今よ。気のせいか幻が見えやがった。

【トビ】俺も変な錯覚が見えちまったようでよ。いろいろと悩んでいる。


  

    僕から言えることは 

    

         

【タカ】幻の中でよ。俺は夏の浜辺でお前と遊んでたんだ。

【トビ】遊んでいたな。無邪気にはしゃいで、キャッキャ言いながらスイカ割りなんてしてよ。



    それがなくても

    それがあったとしても

    彼女の魅力は変わらないよ



【タカ】で、スイカを割ったらビックリだぜ。俺らにとってなくてはならないものの変わりに、中に変なゴム製の異物が入ってんのよ。

【トビ】マジかよ。スイカの中身はたわわな果実だろうが。常識だよな。


  

    僕にとっての彼女は

    優しくて

    いつも綺麗で

    笑顔が輝いているのだからね



【タカ】コレって白昼夢だよな。

【トビ】ヤバいぜ。幻覚が見えやがる。


   

    ううん

    そうだね


     

【タカ】見えちゃいけねーもんが見えたっつーか。

【トビ】つかつか、何も見えちゃいねえ。急いで正気に戻ろうぜ。



    彼女が本気で悩んでいるみたいだから

    その悩みは僕が想像できないだけで

    きっと意味のあることなのだろうから



【タカ】そうそう。何も見えてねーんだけど。

【トビ】見たくねーんだけれども。

   


    言わないよ 

    僕はなんにも

        

    

【タカ】不可抗力で見えてしまったものを考えるに。

【トビ】考えるに?



    ちなみに

    ひよこの本当のバストサイズはね



【タカ】アー! アーアー! キコエナイ、キコエナイ。

【トビ】いきなりどうした、奇声を上げてよ?



    ‥‥‥‥?



【タカ】やべー、いま頭の中に変な電波が流れてきたよ。たぶん宇宙からだな。

【トビ】やるじゃねーか、宇宙人。電波を使って頭の中から地球侵略かよ。



    お猿さんたちうるさいなー

    ま、バストサイズなんてどうでもいっか

    


【タカ】メッセージが届いたよ

【トビ】何て?



    でも、一言だけ

       


【タカ】宇宙はでっかいよ、だって。

【トビ】やっぱ、ユニバースだよな。なんか抱えていた小さな悩みが、ぜんぶ消し飛んだぜ。



    彼女のそんなところも好きだよ



        

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