せかんど・みっしょん〈ヒーローの力〉

②-1

          

    

   うーん

   今回は本当に余裕なのかな?

   


【トビ】つーか、ひよこ先輩もあっち(迎えに)行ったら意味なくね。

【タカ】だよな。



    ふふん

    緊張して損した



【トビ】それによ。

【タカ】あん?



    じゃ、サッサっと

    こいつらをコテンパンに

    やっつけて

    追っ払ってやらなきゃだね



【トビ】二人きりになったからって、なんで先輩がお前に惚れることになってんだよ。

【タカ】ランデブー後は勝ち筋しか見えねぇ。



    うん、余裕っぽいけど

    ちゃんと作戦を考えなくちゃ



【トビ】言うね。

【タカ】俺は栄光しか追わないポジティブな男だからな。



    ふむふむ

    お爺ちゃんの㊙︎怪人攻略法によると‥‥


    アレ?



【トビ】で、さっきから気になってんだけど。

【タカ】おうよ。



    お猿さん1号が何かしているぞ?



【トビ】お前何してんの?

【タカ】見りゃ分かるだろ。部屋漁るのに忙しくしてんだよ。



〈※タカはトビと会話をしながら、黙々とひよこの部屋を物色している。〉



    えっ? 

    えっ?



【トビ】どういうこと?

【タカ】ひよこは将来よ。俺の嫁になる女だろ?



    僕のだよ



【トビ】俺のだけどな。それで?

【タカ】持ち物検査とか必要だろ。



    あ、思わずツッコミ入れちゃった

    それよりも何なの?

    


【トビ】で、タンスを漁っているのか。

【タカ】漁るだろフツー。

【トビ】普通?



    こいつら

    本当に何してるの?



【タカ】フツーフツー。

【トビ】フツー。



〈※二人は黙々と部屋を漁り出す。疑問を挟む余地なく、とても自然体である。〉



    おい そこの

    イカれポンキッキども

    そのど汚い手を離しな


    ワン

    ツー

    スリー


    デンジャー

    僕は危険になってきたぜ



          ⚪︎



〈※ツバメは悪を懲らしめるために立ち上がる。〉



    ついにお前たちの悪を発見したぞ!

    


【トビ】そういやこの前、妹の部屋でよ。漫画読んでたらマジでキレやがんの。

【タカ】ああ、ぺったん子か。



    もう言い訳できないな!!

    


【トビ】最近すぐにキレるんだよ。マジでアイツ。

【タカ】女は意味がわからねぇことでキレるからな。特にウチの母ちゃん。



    まさかまさか‥‥

    そんなまさか‥‥‥

    


【トビ】勝手に部屋に入ったぐらいでよ。いいじゃんよ。

【タカ】アイツ、確かもうJKだよな。じゃあ、ヤバいだろ?



    僕の前でそんな真似をしでかしてしまうとはね

    まったく恐れ知らずなことだよ



【トビ】そう。高校入ってからがマジでヤバい。

【タカ】JKとか生き物として情緒不安定すぎんだろ。

【トビ】だよなー。



    やっちゃったな

    お前たち



【タカ】そういやよ。ブチ切れると言えばよ。

【トビ】あん?



    僕は絶対に

    お前たちを––––



【タカ】俺らが通ってた小中高の女とか、ぜんぶ最悪だったべ?

【トビ】そういや。ブチ切れる奴しかいねぇ。



    ––––許さないんだからな!

    


【タカ】なんか知らねえけど、俺ら女どもによく目の敵にされたよな。

【トビ】特にヒデーのは高校からだよ。死ぬほど当たりが強くなったの。



    よし、力を使う



【タカ】マ・ジ・で・そう。クソ女どもよー。

【トビ】だよな。中学の時はまだ可愛げがあったけどよ。高校になって急に性格悪くなりやがって、やり口がエゲツなくなりやがる。


    

    僕はゼッタイに彼女を守る!

    


【タカ】アイツら俺らにも心があるっての分かってんのかな。容赦なさすぎだろ。

【トビ】何度、泣かされかけたか。



    いくぜ!



【タカ】社会に放っちゃいけねぇ存在だよアイツらは。

【トビ】マジでそうな。



    超ひよこ防衛軍ツバメ

    レディー・GO!



〈※ツバメ、腰ベルトに手をかける。今まで微動だにしてこなかったツバメが、変身ポーズのために動作を開始する。〉

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