①-3
【トビ】マージびびったよ。こっちに歩いてくんの。ボヨンボヨン弾ませて。マジかよ。でっけぇ! 怪獣が向かって来るじゃねーか。ゲラゲラ!
【タカ】俺も初めて先輩見たとき思ったね。やべー、バインバイン巨大なおっぱいがやって来る。ドジラ級じゃねーか、て。気づいた時には尻餅ついちまって、踏み潰されるのを覚悟していたぜ。ゲラゲラゲラ!
メーデー・メーデー・メーデー!
緊急スクランブル!
【トビ】でけぇでけぇ、マジでっけぇ。ゲラゲラ! 冗談かと思ったぜ。やっぱ、いるとこにはいるもんだな。感動した。これって、芸能人とかスポーツ選手をテレビ越しじゃねーところで初めて見て、こいつマジで実在してんだな、とかいう変な感覚?
【タカ】いいや、あのインパクトはそんなもんじゃねーよ。もっとスゲーよ。やっぱアレは大怪獣よ。怪獣をリアルで見て。やべぇ、これってマジで現実かよ。特撮じゃねーのかよ。実物は迫力がちげーわ。ていう感じだったわ。
敵性反応を確認しました!
敵性反応を確認しました!
【トビ】分かる。分かるわ。ゲラゲラゲラ!
【タカ】マジ、すげーわ。一気に世界が広がったね。ゲラゲラゲラ!
ひよこ防衛軍ツバメより
コンディションレッド発令
これより迎撃を開始します!!
⚪︎
〈※タカ。急に落ち着いて語り出す。〉
【タカ】‥‥‥なあ、トビよ。聞けよ。
【トビ】あん?
––––––––ダメだ!
僕にはさ
迷っている暇なんてないんだ!
【タカ】長らく俺はよ。真実の恋を探して彷徨う吟遊詩人だったけどさ。
【トビ】おうよ。お前はそんなナントカなロマンチストだぜ。
落ち着こんでいたらダメなんだ
その間に愛する人を守れなくなっちゃう
【タカ】コレ、運命きちゃったかもしれない。
【トビ】来ちゃったか。運命が。
やるよ
彼女を守るために!
【タカ】俺にとって、まさにあの瞬間がそれよ。
【トビ】気が合うな。俺もだぜ。
よし、ぼくの力を解放する
【タカ】まいったよ。純愛熱がどうしようもなく再燃しちまったようでよ。あの怪獣大行進を思い出すと、胸が高鳴ってしょうがねぇ。目を閉じても。耳を塞いでも。心臓からドジラのテーマソングが聞こえて来るんだよ。
【トビ】マジで? 俺も俺も。
ヒーローとしての
本当の力をね!
【タカ】で、今日、先輩に告ろうと思っていろいろ作戦考えてきた。
【トビ】マジかよ。気が合いすぎだろ。実は俺もなんだぞ。
行くぞ!
着装解除準備
〈※ツバメ。自分のベルトに手をかける。〉
レディ〜〜
【タカ】お前にはマブダチとして俺に協力してほしい。
【トビ】そいつは聞けねぇ相談だな。
‥‥て、
ちょっと待って
【タカ】マジ?
【トビ】マジ。
こういう時
お爺ちゃんは
なんて言ってたっけ?
【タカ】まあ、聞けよ。お前にもメリットがある話なんだ。
【トビ】メリット? じゃあ、しょうがねぇ。聞かせてみろや。
えっと、そうだ
焦らずしっかりと敵を知ることだっけ?
【タカ】お前よ。なんでひよこ先輩があいつら(他の後輩ら)迎えに行ったと思う?
【トビ】なんでだ?
ただでさえ
1体2の状況で僕に不利なんだ
戦う前に相手の実力と
企みを知ること
コレ、お爺ちゃんの教えだよ
【タカ】聞いて驚けよ。奴らが来ねーのはよ。
【トビ】おっと、ミステリ仕立ての面白いのを頼むぜ。
ほら、ちょうど
僕を子供だと侮って
奴らがその邪悪な陰謀の種明かしを始めたぞ
【タカ】俺の孔明の罠が発動したからなんだな。
【トビ】やべー。大軍師じゃねーか。
今までの侵入してきた奴らだって
僕の容姿に騙されて
口を滑らせてきたんだ
【タカ】実は俺がいろいろ工作してよ。偽情報であいつらの待ち合わせ場所を変えてやった訳よ。
【トビ】マジかよ。実は俺も同じことをしてやったぜ。
こいつらがどんな邪悪を隠していようとも
僕は必ずその邪悪のすべてを
突き止めてやる!
【タカ】えっ、マジ?
【トビ】マジ。
こいつらはお猿だから余裕だって言ったけど
見た目がバカそうで
僕はふふん、て
得意げになって
さっき、そう言ったけど
だけどさ
見た目で侮ったら僕も同じだよね?
【タカ】(遠い目をして)‥‥‥トビよ。お前と俺とは付き合い長いよな。かれこれ幼稚園来のダチよ。
【トビ】ああ。
油断なんてしないよ
大丈夫、落ち着いて
僕にはできるはず
だって僕は賢いからね
ふふん
【タカ】だからお前の考えていることは俺には分かる。てか、たいてい俺の考えてることと同じだからな。
【トビ】まあな。
よし
敵の姿をよく見るんだ!
ドキドキ
【タカ】どうやらお前にも含むもんがありそうだな。俺の推理だと‥‥。まあいいや。試しにお前の方の作戦を教えてみろよ。
【トビ】お前も教えるならやぶさかでない。
ドキドキドキ
【タカ】じゃ、同時だな
【トビ】だな。
ドキドキ!
ドキドキドキドキ!
【タカ】俺がお前らを騙すだろ。それで俺がひよことランデブー。
【トビ】俺がお前らを騙すだろ。そいで俺がひよことランデブー。
‥‥‥‥?
【タカ】一緒じゃねーか。マジかよ。ゲラゲラゲラ!
【トビ】気が合いすぎじゃねーか。やっぱ俺ら親友だな。ゲラゲラゲラ!
‥‥‥‥‥???
【タカ】でもよ。よく聞いたらよ。一文字違くね?
【トビ】あ、ホントだ。『れ』と『い』が違うな。
‥‥え? もしかして
これって本当にアレなのかな?
【タカ】やべー。大発見じゃねーか。ゲラゲラ!
【トビ】ゲラゲラゲラ!
そんな、でも
違うよね?
【タカ】で、相談なんだけどよ。こっから(マンションから)出てけよ。
【トビ】なんでだよ。
大学生だよね
この人たち?
【タカ】空気読めねー奴だな。出ていけよ。お前がいたら俺と先輩がランデブーできないだろ。
【トビ】やだね。
いいや
大学生は見た目がお猿でも
すごくバカっぽくても
そこそこ頭がいいんだ
【タカ】あのなー。お前も幸せだろ? 親友の俺が先輩と幸せになったらよ。だからだよ。
【トビ】言ってる意味わかんねーことは分かったぜ。
そうだよ
そんなはずないじゃないか
きっと、こいつらはもっと悪賢いことを考えているんだ
だから、
–––––僕は騙されないぞ!
【タカ】なんでだよ。分かんねー奴だな。お前のメリットのことを言ってんだよ。
【トビ】さっき言ってたな。でもメリットなんざ何もねーじゃねーか。
こいつらも第二形態を隠しているに違いない
この前のインテリジェンス眼鏡ゴリラのようにね
【タカ】じゃあ説明するぜ。俺とお前は親友だな。
【トビ】ああ。
思い出すだけで震えちゃうよ
眼鏡を外した後のあいつの邪悪さと来たらね
【タカ】てことは俺の幸せはお前の幸せであり、お前の幸せは俺の幸せである訳だ。
【トビ】まあとりあえず納得しておくぜ。
僕は同じ失敗を繰り返さないんだ
さあ、お前たちも真実の姿を見せてみろ!
【タカ】だからよ。俺と先輩が結ばれて、お前の前でイチャイチャしてチッスなんてしてたらよ。どうだ?
【トビ】どうだって?
【タカ】嬉しくてしょうがないメリットだろ?
【トビ】ぜんぜん、気に食わねーぜ。つか死ね。
‥‥‥‥‥?
【タカ】てめぇ、トビ! マブじゃねーのか! 見損なったぜ!
【トビ】あ? やんのか、タカ!
‥‥‥‥えっ、バカ?
〈※タカとトビは殴り合いを始める。〉
もしかしてこの人たち
本当におバカさんたちだったの?
〈※男二人が大立ち回りをするので、小綺麗にされていたひよこの部屋は散らかり始める。〉
【タカ】オラァ! 俺にひよことランデブーさせろや!
【トビ】ウッセー! 俺がひよことランデブーなんだよ!
⚪︎
ウッキー
ウッキッキ
ただいまカチカチ野毛山
頂上合戦開催中
【タカ】シャー! かかって来いや!
さあ、お猿のチャンピオンは誰になるのか?
お尻が一番赤い子の一等賞は
いったい誰のものになるんでしょうか?
【トビ】舐めてんじゃねーぞ、タカ!
激しい戦いは続いております
運命の決着はいかに?
⚪︎
〈※それからも激しいどつき合いは続いている。〉
【タカ】オラオラオラオラオラ!
不毛だね
どっちのお猿が勝ち残っても
バカとバカ
【トビ】ムダムダムダムダムダ!
来園中のみなさん
喧嘩をするので
お猿さんたちに
バナナを上げるのはやめましょう
⚪︎
〈※しばらくして二人はようやく喧嘩をやめる。二人は傷だらけである。〉
【タカ】やめよーぜ。イテーし、むなしーし。
【トビ】だな。
〈※二人が暴れ回ったせいで、ひよこの部屋はかなり散らかってしまう。〉
【タカ】ところでよ。なんでお前は俺の孔明の罠にかからなかったんだ?
【トビ】オメェからの情報なんて胡散臭くて信じる訳ねーだろ。
【タカ】まあな。俺もだ。気が合うな。
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