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答え合わせをしたかった。
スプモーニを飲む間だけ、早咲を信じてみようと思った。
歌舞伎町に戻ると、おれは夕方のミラノ座前へ急いだ。
早咲はいなかったが、早咲とよく一緒にいた男が広場の植え込みで寝ていた。
声をかけると、しみだらけのお腹を見せながら立ち上がった。なにかに怯えていた。
「あいつを探している奴がいるんだ。娘の責任をとれとか叫んでな」
SP盤みたいな声で話し出した。話し方も白黒映画みたいだ。
「あいつは逃げまわっているよ。あんたは友だちだろ。助けてやれよ」
ドッジボール中にしか聞かないような台詞だった。
早咲は寝床にもいなかった。荷物は置いたままだった。
早咲が歌舞伎町から姿を消した日、ベイスターズは連敗を脱出した。
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