第5話 殺人ギルド・キラーズ

僕とイーラルさんは現在、絶賛戦闘中だった。相手は黒いポンチョを被った集団である。そもそも今の状況に陥ったのは今から1時間前、次の遺跡を目指して歩いている時に森の中で大量の血が溢れている場所があった為、辺りを警戒しながら歩いているといきなり毒矢や麻痺毒が塗られたと思われる鉈を持った集団が僕らを取り囲み始めたからだ。そしてイーラルさんは即座に敵の正体が犯罪者ギルドの内の1つである殺人ギルド・キラーズであると看破して速攻で戦闘態勢に入った。僕も小太刀を構えつつ敵を無力化しようとしていたが向こうが人を殺すことに躊躇せずそして死ぬ事も躊躇わないで攻撃してきた為もう既に何人か殺してしまっていた。

「コイツら後何人いるんですかね?いい加減鬱陶しいんですけど」

「オレにそんなことを聞くな。でもな遠視の魔術で見る限りまだ20人以上はいるな。」

「イーラルさん、全方位を遠視で見た後に僕に視覚共有って出来ます?」

「出来なくはないが何をするつもりだ?ってお前にはアレがあったな。アレで一気に殺る気か?」

「ええ、でも初めての使用なんで気をつけてくださいね」

「視覚共有、完了した筈だ。頼むぞ」

「《領域閉鎖》」

エラが固有魔術・《領域》を発動させた。そしてその空間は暗闇の中に大量の棺がある空間だった。どうせなら纏めて始末したいが僕が知っている魔術がこの棺のどれにあるかは全くわからないからな。そんな考えをエラは巡らせながら1番手前の棺に触れた。その瞬間に自分が認知していた《敵》の身体を槍が心臓を抉って殺した。それを見たエラは一瞬で吐瀉物を辺りにぶち撒けた。結果辺りは血と吐瀉物によって腐敗臭が漂った。

「エラ、落ち着け。深呼吸をしろ。」

未だに過呼吸で顔が真っ青なエラにイーラルは苦手な精神干渉の魔術をかけて落ち着かせた。

「イーラルさん、すいません、迷惑かけたみたいで。」

「いや、別に気にするな。それよりも隠れていただ奴が接近してるな。他の術式は使えそうか?」

「無理ですね。《領域》を使った影響で暫くは僕は魔術を使用できません」

「そうか、なら少し後ろで下がっていろ。」

そう言ってイーラルは杖を虚空に突き出した。すると其処から人影が現れて後ろに退避した。

「オイオイ、ウチのギルドの連中を殺ってくれたな。ならこちらも容赦なく殺してやるよ。特にその後ろの小太刀使いの術式だろ。久しぶりに殺し甲斐がありそうな獲物だ。」

「悪いがお前とお喋りも殺し合いもする気はないんでな」

イーラルはそう言うと杖を地面に突き立てると紫色の煙が辺り一面を包み込みその隙にエラを連れて撤退した。

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劣等召喚魔術師と異世界変化師の遺跡探索 @Karasu72noko

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