第3話 王都の図書館にて
僕はイーラルさんと共に王都レグザに来ていた。
「しかし何で図書館なんかに行きたいんだ?」
「一つは魔術について知っておきたいからです。そしてもう一つは昨日みたいにイメージ次第で召喚術式以外の魔術も組み込めるんじゃないかと思っていまして」
「まぁ、確かに昨日のはただのチンピラみたいな奴らだったけど遺跡とかに同行するなら危険な魔獣とかも多いし知っておいて損は無いと思うが今のままで充分に強いんだし別にいいんじゃないか?」
「自分は後悔したくないんです。あの時、経験しておけば良かったとか覚えていればどうにかなったなんてなりたくないんです。」
「そうか、なら別に止める理由もないし俺は遺跡についての資料でも読んでるから終わったら声を掛けてくれ」
そうイーラルさんに言われたので僕は大量の魔導者を読み漁って使えそうな物を片っ端からメモしていった。そして昼頃に作業が終わったのでイーラルさんを呼びに行って図書館から出て食事を食べに行こうと歩いてる道の途中でガラが悪い男や女が孤児院だと思われる施設の女性と男性、それに子供達に怒鳴り散らしているのを見て足を止めた。
「すいません、イーラルさん。先に行っていてください。ゴミ掃除してから合流しますので」
「はぁ、お前あれに首を突っ込む気だろ。本当は金にならない事には関わりたくないが流石に俺も虫唾が走る。俺も付き合う」
そう言って僕とイーラルさんは孤児院に向かった。
「オイ、あんたら何してんだ?」
イーラルさんが不愉快極まりないといった表情で声を低く聞いた。
「ここの連中が借金をいつまで経っても返済しないからガキ共を代わりにもらって返済してもらおうと思ってな」
僕はそれを聞いて頭の中で何かが切れる音がした。コイツらがやろうとしている事は奴隷商人と同じ事だ。ムカついたので速攻で思い切り踵で男の足を踏んだ。
「テメェ、何しやがる?いやお前ら借金とりどころか奴隷商人みたいな奴だからそんな社会のゴミはさっさと掃除しようかなと思って。」
それぞれが杖や剣、斧などを持って魔術を発動したり向かってきたので取り敢えず、辺りに被害が出ない様に《白蓮》を取り出してさっき図書館で読み終えた魔術をイメージして一言呟いた。
「歪み守れ」
すると氷の蓮の華が咲き誇り魔術は全て蓮の華に吸収される様に軌道をずらされて霧散した。
「エラにばかりやらせてられないなー。シルバ、来い。あの斧使いの片腕だけなら食い千切って構わないからな。」
そう言ってイーラルは杖に魔力を込めると銀色の毛並みの少し小柄な狼を呼び出して斧使いに向かわせた。そして自身は片手剣を使っている男に杖で何度も突きを放った。しかし途中で杖が折れてしまって最終的に相手の顔を思い切り殴って倒した。その間に銀狼は斧使いの片腕を噛み千切り他の敵も全てエラが倒していた。
「さてお前らさやった事はわかっているよね。借金の取り立て書もなく脅して挙句に人身売買までしようとしたんだ。立派な犯罪者だし人身売買は重罪だから一生、牢屋で鎖で繋がれて過ごす事になるな。」
僕は冷たくそう言って全員を縛り上げてこの国の警備兵の詰め所に連行した。その間に怪我をした人間に傷薬をイーラルさんに渡して治療を頼んだ。戻って孤児院の人達にイーラルさんと話をして金貨50枚を渡して僕達は孤児院を去った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます