第2話 白蓮と黒百合

ラフェの街に着いた僕とイーラルさんは早速、遺跡で僕が《変化》させた魔鉱石をギルドに売りに来ていた。序でにここに来るまでにそこらへんに生えていた雑草を触るとこれも高値で取り引きされている霊薬草に《変化》した。なんでも霊薬草は足が欠損している人間に使う秘薬の材料で秘薬を使えば足も再生するらしい。流石に首が切断されていたら治せないらしいがこの世界での最上位にして滅多に市場に出回らず王族や最高ランクの冒険者達が少ししか所持していない秘宝クラスの薬らしい。

僕が冒険者登録をしている間にイーラルさんは換金して金貨を大量に袋に入れてもらっていた。するとイーラルさんに何人かの男達が近寄ってきた。

「おい役立たずの召喚術師のイーラルじゃねーかよ」

「その金貨は何処で手に入れたんだ?」

「全部寄越せよ。役立たずには必要ないだろ」

「オイ、アンタらイーラルさんに何言ってんだ!?」

「なんだクソガキ。この役立たずはに必要無いからその金貨を頂いてやろうと思ってな」

「イーラルさんが役立たずだと。なら表に出ろ。俺がアンタらに負けたらお前らに同じ額の金貨を払ってやる。但し負けたら二度とイーラルさんに無礼を働かない事にしろ。」

「徹底的に叩き潰してやる。全員でかかって来い」

「後悔するなよクソガキ」

そう言って男達は斧や大剣などを僕に向かって振り回してきたが遅いと感じた。そしてこんなチンピラみたいな奴らにイーラルさんが馬鹿にされたと思うと無性に腹が立ってきたので少し本気を出す事にした。僕は腰に納めていた小太刀2つを抜き取り地面に突き立てた。

《白蓮》・《黒百合》

それがこの二振りの小太刀の名前だ。右手に持った青白い小太刀が《白蓮》で左手に持った黒紫の小太刀が《黒百合》だ。

「縛」そう呟くと《白蓮》からは青白い冷気を纏った蓮の蔓が《黒百合》からは百合の花が《白蓮》の蔓から咲き出した。それと同時に男達は蔓に縛られていき徐々に立つことすら出来なくなりながら倒れた。そして辺りには百合の花が咲き誇っていた。

「オイ、エラなんでこんな事をした。」

「イーラルさんに対しての発言や行動がムカついたので黙らせたくなって。それにこの小太刀の力も知っておきたかったですしね」

「お前だけだよ。俺のために本気で怒ってくれたのは。両親を含めて今まで全員が役立たずとか出来損ないとか生まれてから今まで罵詈雑言しか言われなかった。誰も心配してくれなかった。それよりなんでコイツら倒れたんだ?」

「多分ですけど僕の《白蓮》と《黒百合》の能力でしょうね。何となくイメージしたんです。相手をなるべく傷つけないで無力化する方法を。そして《白蓮》で拘束した相手から魔力や生命力とか体力を奪って《黒百合》が白蓮で発生した蔓から黒い百合の花を咲かせる度に徐々に相手の力を奪う。召喚魔術を僕なりの解釈でイメージして冷気を纏った蓮の蔓と力を奪う度に咲く黒い百合の花、それを《召喚》するイメージをしたら出来たんです」

「お前、やっぱり凄いな。召喚魔術を自分のイメージでしかも見せた事もないのに自己解釈だけでやってのけるとか常人じゃあり得ないぞ。まぁ何にせよ、今日泊まる宿代以上の金額が手に入ったし宿に行こう。今日は色々ありすぎて正直言って疲れた。早く寝たい」

「同感です。それと明日から王都の方に行きませんか?そこの図書館に行きたいんです。」

「別にいいけど。どうせ隣町だからな。ラフェの街の隣町がこの国の王都レグザだ。直ぐに着く。」

そう言って2人は宿屋に入って直ぐにベッドで深い眠りについた。

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