劣等召喚魔術師と異世界変化師の遺跡探索
@Karasu72noko
第1話 異世界召喚!?
僕は学校帰りに道端で子猫が歩いているのを見かけた。そしたらそこにトラックが走って来て子猫が轢かれそうになったから急いで飛び込んだ。何とか子猫は助かったみたいだけど僕は全身が寒くなってきたのを感じたし身体が思う様に動かない。恐らくあちこちの骨が折れたんだろう。ああ死ぬんだな。
(人生を共に出来るパートナーが欲しかったな〜)
そんな事を考えていたが徐々に意識も無くなってきた。
(マジでやっぱり死ぬんだ。まぁパートナーが欲しかった以外に思い遺す事はないけどさ)
こうして僕の人生は終わった。嫌、終わる筈だった。気づくと僕は何処かの平原に革のジャケットに黒いズボンを履いて腰には小太刀が2本鞘に収まってベルトに巻かさっていた。そんな格好で寝っ転がっていた。
あれトラックに轢かれて死んだんじゃなかったっけ。まぁいいや、それより近くに遺跡があるけど此処は天国でもなさそうだし何処なんだろ?辺りを見渡すと近くの木に白いローブを纏って木の杖を肩に掛けながらいる青年がいた。
(取り敢えずあの人に聴いてみよう。)
「あーあまた召喚術式も失敗。その上遺跡からは何も金になりそうな物も大して出てこなかったな、また報酬が減って蔑まれるのかよ」
青年は何やら独り言を呟いて溜め息を吐いていたが話しかけてみた。
「あのー此処って何処ですか?それに召喚術式ってなんですか?」
「あ?お前、誰?ってかマジで何言ってんの?此処はラフェの街の近くにある遺跡だよ。それに召喚術式ってのは魔術師の中で1番嫌われて蔑まれる対象の召喚術師が使う魔術の事だよ。何でそんな事すら知らねーんだよ。お前も俺を馬鹿にしに来たんだろ。失せろよ」
「あの、本当に何も知らないんです。気づいたら此処の近くの平原で寝ていてこの服も小太刀も気づいたら持っていたんです。」
「記憶喪失か?お前。それとも俺に金せびってる?生憎と俺は金なんてねーよ。俺はさっき言った召喚術師で本職の遺跡探索しながら遺跡で出た出土品を売ったりして旅してるんだよ。此処の遺跡も何かありそうだと思って探索しに来たけど読めねー文字ばっかりで聖遺物もなかったからこの後どうするか悩んでたんだよ」
「その遺跡の文字ってどんな文字ですか?見せて下さい。」
「記録はしてあるけどどうせ読めねーと思うぞ」
そう言って青年はローブのポケットから蒼い石を取り出して何か告げると石が光り石碑に描かれた文字と絵が映し出された」
「なっ、どうせ読めねーだろうからもういいだろ」
「すいません、読めちゃいました」
「やっぱり読めな、は、今何て言った。読めたって言ったか?一応聞くけどなんて書いてあった?」
『この遺跡で自身を蔑まれた召喚術師が召喚術式を行使した際、《異世界》から《死者》を《使者》として呼び出しその《使者》に《変化》と《対応》の能力を授ける。召喚術師は《使者》と旅を共にして遺跡探索を成し遂げろ』
「そう書かれていますけど、もしかしてあなた召喚術式を使いました?」
「もしかしてお前、異世界から来た存在なのか!?」
僕と青年は互いの顔を見つめあって驚きあった。
「どういうことか全く訳がわからねえ。そもそも召喚術式で人間がそれも異世界から呼び出された例なんて魔術が生まれてから一度もないんだよ。」
「いや、僕だってそんなこと言われても分かりませんよ。ただ僕のいた世界では魔術とか魔法は無くて物語の中の存在、つまり架空の話なんです。まぁ、異世界に突然、呼び出されたり転生したりする話はよくありますけどね」
「それでお前、名前は?俺はイーラル。さっきも言った通り召喚術師だよ」
「それが僕、名前だけは思い出せなくて、ああもう面倒臭いから適当にこの世界でも通用しそうな名前で良いや。エラ。エラって呼んでください」
「それでお前これからどうするの?遺跡の文字まだ続きあるからいなくなるにしても全部読んでからにしてくれない。」
「分かりましたよ。」
『尚、この異世界からの召喚は一度使われれば二度と誰も使う事が出来ない』
「そう書かれています」
「そーか〜。結局、金にならない上に誰も信じてくれなさそうな話だな〜マジで金どうしよう」
「そのさっきそこで拾った石ころが突然、掌で光って宝石みたいなのに変わったんですけど。これって使えますかね」
「オイ、それ高濃度の魔鉱石じゃねぇか。こんなの一欠片でも金貨50枚は下らないぞ。それが何個も。頼むそれを恵んでくれ」
「良いですよ。でも代わりにイーラルさんに同行させてください。僕はこの世界のこと何も知らないんですから」
「そんな事でいいなら勿論、引き受ける」
「早くラフェの街に戻るぞ」
そう言ったイーラルは立ち上がると駆け足でラフェという街がある方向へ歩き出した。
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