第十六節

将軍は浪止を本当にしたっていたという。

浪止は将軍に仕えた功労者として将軍の告別式に招待された。将軍はもともと保守的な人だったらしい。それが、突然、革新的なことばかり言い始めるものだから、周りの保守派からはよく思われていなかっただろう。

浪止はライトとダークを引き連れて、将軍の本城へ向かう。その道中。

ライト:「人間の命は短いのですね、浪止様」

浪止:「そうだ、ライト、だからこそ人間の命に趣きがあるのだ。尊ぶべきなのだ」

ライトは首を傾げるだけだった。

浪止:「ところで、ライト、守護剣士としての鍛練は積んでいるか?」

ライト:「それはもちろんですよ、浪止様」

浪止:「ならいいが……」

ライト:「ダークも僕みたいに頑張るんだぞ」

ダーク:「お、おう、そうだな」

ライトは自信満々でいた。だが、実のところライトはそこまで熱心に鍛練をしていなかった。むしろ、ダークのほうがライトの何倍も頑張っていた。浪止はそれを十分わかっていた。だが、ライトのことだから大丈夫だろうという思いもあった。

たまにライトとダークは互いに木刀を持ち、稽古することもあった。そのときは毎回、ライトがダークを圧倒する。ダークがそれを悩んでいることさえも浪止はわかっていた。

そして見かねた浪止はダークに声を抑えて言う。

「ダーク、あまり気に病むんじゃないぞ。大切なのは自分がどうあるかだ」

浪止はダークたちの前では教育者だった。

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