第十五節
あれから少しして、オモテノクニに人権宣言なるものが発表された。
将軍「以降、人間と超能人、2種族まとめて人と呼ぶこととする。人が互いに支え合い、平等に接することを保障する」
これはオモテノクニの人間たちにとって衝撃的なことだった。人間たちはてっきり超能人の絶滅を告げるものが来ると思っていたからだ。これを聞く限り、超能人が生き残ってるということは明白だった。
そうした人々の疑問を直接将軍にぶつける手段をこの文明は持ち合わせていなかった。それを将軍も察知していた。
「剣を捨て、知を持て。我々は共通の敵のおかげで、これまで結束することができた。だが、次なる敵は未来だ。それには知を持ち、その知を伝える手段が必要。そしてそのためにまずは人として結束する必要がある。さらには私はオモテノクニの支配者ではなく、代表となる。どうか力添えを、そして人間と超能人の共存を」
この御触れ書きは超能人を探していたときのネットワークを利用して、素早くオモテノクニ中に伝わった。
そんな一方で、浪止は相変わらず、ライトにダーク、そしてついてきた人間たちに教えを説いていた。
浪止のところにも御触れ書きは届き、それを少し見ると、「やはり生かして正解だった」と浪止はつぶやくのであった。
ライトとダークには基本剣技なるものを教え込み、浪止の守護剣士という位を与えた。人間たちは超能技術部というところに配属された。超能技術部の急務は浪止一行の拠点となる城造りであった。もちろん人手が足りないので、将軍の技術部も加わり、超能技術部はほぼ浪止の指示をまわすだけとなっていた。
浪止はダークを打った銃を見つめ、言葉を発する。
「これでは近距離しか通じないわけだ」
また、御触れ書きも入念にチェックし、
「これは民の人数分作るの大変だよ」
と至らぬ点をいくつも見つけるのだった。
浪止は超能技術部にどうやら、超能人の科学と人間の科学を融合した何かを見つけてほしいようだった。
それから月日が流れ、城が完成した頃、将軍が亡くなった。志半ばだった。
浪止「これが人間と超能人の違い……」
浪止は分かっていたが、いざ目の当たりにすると慣れないものだなと実感していた。
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