第十四節

その一部始終を見たダークは浪止が神様のように感じた。知という見えないものの恐ろしさ、人間のトップを従わせる対話力、これだけで説明しきれるかも怪しい結果だけがそこには映し出されていた。

浪止一行は城をあとにする。一体、どこへ向かうというのか。

浪止は歩きながらライトに向かって説教をし始める。

「ライト、私が最大に悔やんでいることは人間の左手を傷つけたことだ。ライトは確かに強い。だが、その強さゆえそれ相応の責任も必要となる。だから、償いの機会を用意した」

浪止は連れてきた兵の1人をチラ見する。

ライトは言い返すこともなく、ただ叱られた子どものようにしょんぼりするだけだった。

「じゃあ、ライトが反撃にあっても良かったのか?」とダークは思わずにはいられなかった。だが、言葉を発する前に声が聞こえて、とどまった。

「上の命を鵜呑みにして、自分たちでひとつも考えず、超能人が悪だと決めつけていた私たちにも問題があります。そんなに責めないであげてください」

声を発したのは左手を失った張本人であった。浪止は珍しく驚きの表情を見せ、少しの間を開けてから続けた。

「それでもライト、君には非常に助けられた。私が将軍に持ってきた力は君のことさ。……でもやはり、剣を握ることの意味を私はライトに知ってほしい。そして、」

浪止はたちどまって、急にダークのほうを向く。

「これから剣を握るダークにも知ってほしい」

そういうと、浪止は勝者のつるぎと呼ばれるものを手に取り、どろどろにしていく。そこからみるみる形が整っていき、美しい刀身が現れる。

「これは今日からダークの剣と名付ける。ホコリを刺した剣、つまり超能人の終わりの剣であったが、今から超能人の始まりの剣となる」

浪止はダークの剣を差し出し、ダークはそれを左手で確かに受け取る。

そして、浪止一行はまた歩き始めた。

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