第九節~第十節
浪止が気がついた頃には既に、ライトは目の前で完全に臨戦態勢であった。
「この剣を手にしていると力がみなぎります。勇気と自信があふれます。浪止様すごいですね、これ」
銃を持った人間は空気の変わりようを悟ったのか焦りながら、銃弾を詰め込む。そして、銃口を向け、恐怖に突き動かされながら発砲する。
一発、二発と打ったは良いが、ライトの剣さばきで全て無に帰される。ライトの後ろに隠れる浪止もダークも、それをただ傍観する人間たちも格の違いを見せつけられていた。
やがて、銃声は鳴りやむ。銃弾が詰まったのだろうか、はたまた銃も負けを認めたのか。ライトは銃を持つ人間に近づき、器用に銃だけを木っ端みじんに切り刻む。
相手は腰に隠しておいた短剣を取り出す。それを近くにいるライトへ向ける。伝説の剣は攻撃する隙を与えず、相手の左手を奪った。
「ライト、もういい、そこまでだ。人間たちよ、ここでこの者のようになりたくなければ、ダークの治療をし、そして、将軍と話をさせなさい」
人間たちはそうせざるを得なかった。人間たちは左手を負傷した仲間とダークの応急処置を施し、人間の軍の本拠地言わば城へ戻ることとなった。
人間たちは聞いていた超能人の人物像と何か違うと感じていた。
先ほど遠くに見えた灯りは今や列を成す大きな灯りとなっていた。人間の軍と超能人は同じ空間で将軍の到着を待っていた。
「ダーク、調子はどうだ」
「浪止様、なぜ一度逃げることにしたのですか?」
「口を利けるぐらいには回復したか。時間もできたし、話しておこう。まず、ライトの動向を気にしなきゃならなくてだな」
「呼びました?」
「呼んでない、ライト。距離的にやつと合流するには時間がかかる。そこで自分からそっちの方向に近づき、時間調整をしたわけだ。それとダークが鬼の力で銃弾を防げば、交渉の大義名分がなくなるからね。同じ不利な立場になることが親近感を生み出すのさ。結局、私の計算ではこれが最善とはじき出したのさ」
ダークはライトも人間離れしているが、浪止も大概だなと思った。
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