第4話 ごまかしの、結論
Amazonの注文確定ボタンを押した僕は大きなため息をついた。
「……疲れた」
夜間の撮影をするためにはどんな性能を持ったドライブレコーダーが必要なのか、から始まり、価格コムで絞り込んで該当商品が0になったり、これはよさそうだと選んだ商品が条件を満たしていなかったり。
結局、多少緩めた条件下で提示されたすべての型番をジェミニに張り付けて、夜間撮影と動画投稿に向いているかを判断してもらった。
気づいたらすでに十時過ぎ、ドラレコが届くまでには2-4営業日かかるらしい。営業日ってよくわからん。
めったに使わないクレジットカードを使うのも緊張した。というか、初めて使ったかもしれない。期限がくるごとに郵送されてくるから保管しておいたけど、まだ使えたのかという驚きの方が大きかった。
そういえば、これ、たしか借金みたいなものなんだよな。借金といえば遠藤さんからの封筒だ。確認したら二十万入ってたっけ。
机に置かれた茶色の封筒へ視線を向け、すぐにそらした。
カードの引き落としの日は給料日よりも後だけど、念のため、ドラレコ分だけ今通帳に入れておいたほうがいいかも?
いや、これは車検のためにと渡されたお金だから、それはまずいだろう。
結局返すのだから構わないだろう、とか。
お世話になってる人を裏切るような行為は人としてどうか、とか。
カードのお金がもし足りなかったら詐欺とかで逮捕されるかもしれない、とか。
いろいろと考えすぎた末、僕は全額を通帳へと入れることにした。
手元に置いておくと不慮の事故が起こって紛失の危険があるわけだし、遠藤さんの厚意を十全に受け取るために必要な行為だ。
それが偶然カードの引き落としに利用されてしまったとしても、それは意図したものではなく……僕は、卑怯な人間なのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます