第14話
なにかと準備する物が多くて、わりと忙しい一カ月間を過ごしたが、いよいよ入学式当日となった。
初日ということもあって、入学試験の日と同じく家族みんなに見送られる。
今日は早めに起きたから大丈夫なんだからな!
みんなの見送りにほっこりしながらも馬車の窓を開け、快晴の天気を堪能する。まるで新しい門出を祝ってくれてるようだ。
馬車の降車場から正門へ進むと以前に兄様から聞いた通り、案内札が立ててあり、迷うことなく入学式が行われる講堂へと着いた。
受付でも見せた入学証書の受験番号と、座席に貼ってある番号を照らし合わせて自分の席に座る。
ちなみに制服は入学式の一週間前から自分で取りに行くシステムだった。制服だけでなく体操着やその他大量の道具など渡されたので、使用人と一緒に行って本当に良かった。
このときに入学証書と受験票を交換した。
女子の制服は白を基調としたブレザータイプだ。
ポケットは胸ポケットと腰ポケットがあり、腰ポケットは両側に付いていて、その近辺を覆うように美しい銀糸の刺繍がなされている。
銀糸の刺繍が無ければ、ちょっと水兵さんっぽいなぁなんて思ったことは内緒だ。
リボンは青に白のラインが入ったチェック柄になっており、公式行事でもブレザーまでは脱いでも良いとされている。ただ着崩したり改造したりは処罰の対象だ。
スカートも白を基調として下部に青の二重のラインと銀糸の刺繍、ポケット部分にも青のラインが入っており大変清潔感のあるデザインとなっている。
男子の制服は上半身部分は女子と一緒。ただリボンではなくネクタイとなっている。下は灰色黒青白の色が折り合わされたチェック柄のズボンだ。
またこの制服には防汚などの付与魔法が掛かっており、普通に買ったら非常に高価な逸品だ。
破損など発生した場合は修理・交換も無料で行われるが、破損した原因が故意であった場合は料金を請求される。
加えて貴族が自費で高級な布などを使って、同じものを作ることは許されていない。
これは平民との身分差の軋轢などを考慮したことと、変な事故・犯罪・商売が始まらないように警戒したためだ。
少し早めに来たため座っている生徒もまばらだったが、時間が経つにつれて席が埋まっていく。貴族の子供が多いせいかあまり騒がしくない。
というかこの学校は結構校則が厳しいので、緊張した面持ちの者も多い。
そうこうことをいろいろ考えてたり、ぼーっとしているうちに開始時間となった。
ただやはりこの手の行事の式次第は大体どこも同じで、開式の挨拶、教員紹介、来賓紹介、式辞、祝辞、首席挨拶、閉式の挨拶となっている。
まぁ来賓に国王が来ていたのは驚いたけど。暇か!ってか話長いし。
その点、首席挨拶の王子様は素晴らしかった。何より簡潔。シンプルイズベスト。親父の祝辞が長すぎて急遽短縮したのなら笑えるけど。
ともあれ無事に入学式も終わり、順番に各教室へ移動を促す案内が行われた。授業開始には少しだけ間が空くらしい。
まぁ初めての場所で生徒ははしゃぐだろうし、ちょっとクールタイムを置く感じだろうか。ああ、いや入学式が長かったから普通に休み時間か。
おそらく研究科の教員助手と思われる人達にクラスごとに集められ、まとまっての移動となった。
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