第二回リーゼ家家族会議ー！どんどんひゅーひゅーぱふぱふー！

　いや気持ちだけでも明るくしようって思って。定期的に問題が起こるのは俺のせいだけじゃないと思うんだけどなー。

　まずは元持ち主のお祖父様が口火を切った。

「その、なんだ、火竜甲（かりゅうこう）と呼んどるんじゃったか？それがデリックの木剣を折ったと」

「はい、火竜甲ちゃんです！かわいいでしょ？」

「はい。俺の木剣を払っただけで折りました」

「あれは確か特注品の、鉄剣の重さに合わせた特に固いやつだったよな？」

「はい、ヴァルター兄様」

「まぁ見てみないことには何とも言えないから、準備したそこの鎧に打ち込んでみなさい」

　父様がそう言って壁際に用意されたほぼ廃棄品の鎧を指す。もちろん壁との間には緩衝材が積まれている。絨毯を折り重ねてマット状に厚くしたものだ。

「はい、分かりました！」

　意気揚々と答えて火竜甲ちゃんを装備した私は一撃打ち込んでみた。

「はっ！」

　ゴスンッ、ドサ、ガランゴロン。

　見事に鎧の前面を貫き、余波で絨毯マットまで飛ばされて床（絨毯）に転がった。

「…………」

　沈黙が広がる。

「俺、ああなってたのか……」

「そ、そんなわけないよ！デリック兄様だって身体強化使ってたし、基本頭部以外は当て止め（表面に軽く当てるだけ）でしょ？」

　きっと、たぶん、運が良ければな……。

「ま、まぁ疑っていたわけではないが、ここまでとはのぅ」

　お祖父様が続けて言う。

「ケアリーはここまで威力は出なかったのか？」

「それが私にはちょっと小さいというか大きいというか、造り自体が手に合わなかったのです。それでも一応着けて突いてみましたが、普通の手袋みたいな感じで……。アディは着けづらくないのかい？」

「うん。ちょっと大きいけど装着したら自動でピッタリになるよ？」

「「「はぁ？」」」

　全員の声が唱和した。

「見てて、ほら！」

　そう言って籠手を外してから着けてみせる。

「…………」

　また沈黙が広がる。

「いや国宝だし、素材からしても何らかの魔法的効果はあると思っていたが……、使用者を選ぶ感じかの」

「お祖父さま、それもあるかもしれませんが、属性的な問題もあるのかもしれません」

　ヴァルター兄様が言う。さすがは魔術学院研究科。そしてさらに続ける。

「アディは隠蔽魔法のレベルも上がって、属性を封印することもできるようになっていたよな？」

「はい。全属性は無理ですが二つまでなら」

　検証した結果、火無闇が揃ってないとあの威力は出ないらしい。それでも小さな穴が開くぐらいにはベッコリへこませたけど。

光と闇は結構レア属性だから、数少ない拳闘術（けんとうじゅつ）使いで使える人がいなかったのも仕方ないね。ケアリー兄様も闇属性は持ってないし。

　あと属性を封印しても自動伸縮機能は発動したので、使用者を選ぶというのもあながち間違ってはいないようだ。

「とりあえず何か起きる前にいろいろ分かってよかったが、属性隠蔽は予定通り光と闇になりそうだな。あー封印もか？」

「そうじゃなデメトリオ、五属性というのもそれなりに騒がれるだろうが、何かやらかす可能性を考えると、最初からある程度認知されている方がよかろう。封印はいざという時に使えないと困るから、時と場所によってじゃな」

　やらかすって……。ちなみに父様の名前はデメトリオでお祖父様がヴァイスだよ！

「そうですね、お父様。それに今年は六属性持ちの第三王子が入学予定ですので、それもいい隠れ蓑になるでしょう」

　え、王子様入学すんの？なんか面倒くさそうでやだなー。