第16話 振り返り

1. ギン(偽名:コハク)


​立場: 盗賊団「影の牙」五代目お頭 で「まどろみベーカリー」見習い。

​外見: 長身で細身。銀髪。普段は新人冒険者「コハク」として仮面を外し活動。


性格: 超平和主義かつ血を見るのが嫌いなため斬った張ったの争いごとはなるべく避けたい(というか、盗賊辞めてパン屋になりたい)。


父(四代目)から受けた過酷な修行により、本人の自覚なしに最強クラスの回避・隠密術を習得している。


​特技:近所迷惑防止歩行(ギン本人が命名): 誰にも気づかれずパン屋へ出勤し、町の人たちがまだ寝ている早朝に行われるパン屋の作業を近所迷惑にならないようにするために磨かれた気配を殺し物音も立てない究極の歩法。


​粉塵戦闘術: 小麦粉を媒体に様々な効果を持つ魔女の『毒(麻痺毒や魅力の毒など)』を混ぜて戦う。


​悩み:渋々受け継ぐことになったとはいえ、 本人は真面目に盗賊稼業をしているだけなのだが、なぜか周りからは「義賊」や「救世主」などと呼ばれてしまう。


​2. ゴウ

​立場: 「影の牙」副頭領

​外見: 強面で顔に大きな傷がある。

​性格: ギンの幼馴染で、彼女の「パン屋になりたい」という夢を密かに応援している唯一の理解者。

役割: お頭としての威厳を保てないギンの代わりに、団員たちを強面でまとめる。ギンが汚れないよう、常に彼女の盾となることを誓っている。

​弱点: 幼なじみのギンに密かに思いを寄せており、ギンの頼みは何でも聞いてしまう。副統領という立場や、ギンが尊敬している四代目の娘であることもあり、一歩踏み出せずにいる。ギンが焼いたパン(特にフォカッチャ)が大好物。


領主:アルベルト・ドラルド

​立場: パックスヴェイルの領主(ドラルド家養子)。

​外見: 「豚領主」と揶揄されるほどの肥満体。高級なシルクの衣装を無理やり着込み、指には何重もの宝石をはめている。その腹には「金と油が詰まっている」と陰口を叩かれる、欲の権化。


​出自: もとは孤児院出身。複雑な事情を経て名門ドラルド家の養子に滑り込み、義理の兄弟たちを「闇に葬る(暗殺ギルドに依頼)」ことで領主の座を奪い取った成り上がり。


​性格: * 小心者の暴君: 権威を笠に着て民衆をいたぶるが、自分の命に危険が及ぶと即座に失禁して命乞いをするほど臆病。


​強欲で、『日照税(太陽の光も国の物)』や『井戸税』など、理不尽な悪税を次々と作り出し、私腹を肥やすことに命をかけている。


​【ギン(影の牙)との関わり】

​当初、「影の牙」の悪名を利用し、自分の悪事を盗賊の仕業に見せかけていた。

​対立: 五代目ギンが「義賊」として悪税を奪い返し、民衆に配り始めたことで、自分の利権を脅かす存在として激怒。賞金首にしたり暗殺ギルドを送ったりしたが、すべて返り討ちに遭う。


​現状: 寝室にまで潜入したギンに、これまでの悪事の証拠を突きつけられ、「次はない」と死の宣告を受け震え上がり、今では三日に一度はこの時の夢を見るようになった。


​3. ゾルグ

​立場: 「影の牙」の古参団員(幹部)

​性格: 武闘派のベテラン。先代までの荒々しい「影の牙」を知っているが、現在はギンの提案する「働き方改革」に戸惑いつつも、彼女の圧倒的な実力を目にし、今ではすっかりギンに心酔している。


​4バルカス

​立場: 「影の牙」の元団員(反逆者)

​性格: 武闘派で野心家。先代(四代目)までの略奪を良しとする古い盗賊の在り方に固執し、平和主義なギンを「軟弱なお頭」と見下していた。


​ 三日薬「エデン」に目をつけ、アジト内で反乱を企てたが、ギンの圧倒的な技量とゴウの忠誠心によって一派は壊滅。


​最期: 追い詰められた末に、自ら「エデン」を過剰摂取。副作用による急激な肉体変異を起こし、理性を失って暴走したが、ギンによって制圧された。

この事件がきっかけで、ギンは「エデン」の元凶を断つためルーメンへ向かう決意を固めることになった。


​5. マルコ

​立場: 「影の牙」の新人盗賊

​性格: 気が小さく、お頭(ギン)を雲の上の存在として恐れ敬っている。ギンの「パン買いに行ってきます」という書き置きを最初に見つけ、アジト中をパニックに陥れた。

マルコのギンへの評価は「容姿は美人だが胸が小さく子供っぽい残念美人」という失礼なもの。


​6. まどろみベーカリーの副店主(メアリー)


​立場: パックスヴェイルの町のパン屋『まどろみベーカリー』のオーナー夫人。

性格: 穏やかで上品、そして包容力に満ちた女性。近所迷惑防止歩行(ギン本人が命名) を無自覚に破る「究極の天然」。

「コハク(ギン)」に対しては、真面目でパンが好きな普通のお嬢さんだと思って雇っている。彼女の仕事への情熱を高く評価しており、ギンの心の拠り所となっている。


特技: 町の人たちやギンに愛される絶品ハーブティーを淹れること。


​7. クルト

​種族: 獣人族(犬系)

​立場: 姉を慕う少年

​性格: 純粋で一本気。姉を救うために無謀にも道化師に立ち向かった。


​ギンとの関係: 助けられた際、ギンを姉のユリアと間違えて「姉さん!」と呼ぶ。その後、彼女の強さと優しさに触れ、尊敬の念を抱くようになる。


​8. ユリア

​種族: 獣人族

​立場: クルトの姉。元冒険者。

​ 弟の学費や生活費を稼ぐために高難度依頼を受けようとして「エデン」に手を出し、道化師に囚われた。実験体1573号として魔獣化させられたが、ギンの機転で救出される。

今後の謎: 救出された際、元の姿に戻ったはずだが、、、、。


​9. 道化師

​立場: 三日薬「エデン」の売人であり、研究者という以外は謎。

​性格: 命を「芸術の材料」としか思っていない狂人。


​結末: ギンとゴウの活躍により現在は捕縛されている。


​【組織・勢力】


​・影の牙(かげのきば)

崖の上にアジトを構える武闘派盗賊団。先代の四代目までは略奪を主とする恐ろしい集団だったが、五代目ギンの就任により「働き方改革」が断行され、現在は夜の見張りが交代制になるなど、妙に風通しの良い組織になりつつある。


​アイギス・プロジェクト

道化師が関わっている謎の国家規模(あるいはそれ以上)の研究計画。表向きは「エデン」の流通だが、真の目的は人間や獣人を「魔獣」へと変異させ、痛みを知らない兵器を生み出すことにある。


​まどろみベーカリー

パックスヴェイルの町にある、ギンが「コハク」として修行している聖域。この店のパンの香りは、ギンにとって「血の匂いのしない平和」の象徴である。


​【アイテム・技術】


​三日薬「エデン」

「痛みも疲労も感じなくなる」と言われる液体。服用すると三日間不眠不休で活動でき、一時的に高い戦闘能力を得るが、依存性が極めて高い。過剰投与や適合不全が起きると、精神が崩壊してしまう。


​魔女特製・麻痺毒と魅了毒

ギンが馴染みの魔女から仕入れている強力な毒。殺傷能力はないが、象をも眠らせるほどの麻痺効果や魅了(混乱)効果がある。ギンはこれを小麦粉などに混ぜ、粉塵として散布する独自の戦法をとる。


​銀のペンダント

獣人族の姉弟(ユリアとクルト)が持つ家族の絆の象徴。道化師のアジトで、変異したユリアが本人であることをギンが確信した重要な手がかり。


​【スキル・特殊能力】


​近所迷惑防止歩行(別名:忍び足)

ギンがパン屋へ早朝出勤する際、近隣住民やアジトの団員にバレないように習得した隠密歩行。その精度は「影の牙」歴代頭領の中でも随一だが、本人は「パン屋の心得」だと思っている。


​刃渡り(はわたり)

相手の武器の刃を滑らせるようにして懐に入る超高等技術。ギンはこれを父との地獄の修業で習得した。


​認識阻害の膜

獣人族が自らの耳や尾を隠すために使う希少なスキル。クルトが人間を装うために使っていたが、体力が尽きると解けてしまう。


​適合体(てきごうたい)

エデンの副作用に耐え、理性を保ちつつ変異を受け入れられる素質を持つ者。ユリアは稀に見る適合体として、道化師に執着されていた。


​【地理】

​パックスヴェイル

ギンが「コハク」として働いている平和な町。物語のスタート地点。影の牙のアジトから一番近い町。


​ルーメン

パックスヴェイルから馬車で移動した先にある大きな町。冒険者ギルドがあり、道化師が「エデン」をバラまく拠点としていた森が近くにある。

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女盗賊ギンの不本意な世直し〜私、義賊じゃなくてパン屋になりたいのに〜 奥野細道 @immaculate

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