エピローグ 記録にない失踪

それが――

佐原悠真の最後の目撃記録だった。

翌日、彼の姿はどこにもなかった。

ノートも消え、机の上には白い粉が散っていた。

その出来事は「不明瞭な失踪」として処理され、

数か月後、旧校舎は取り壊された。

けれど、その夜。

取り壊し現場にいた作業員のひとりが、

黒板の跡を見て叫んだ。

「おい、これ……何だよ……」

そこには薄く、しかし確かに残っていた。

『まだ、きこえる。』

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旧校舎の声 ー過去編:封じられた放課後ー @yuzumalu

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