シャルモン・モノローグⅠ
“Les Voix d’une Maison Ducale”
これは、とある公爵家の声、ある兄弟の記録を私が書き起こしたもの。
【Raphaël】
こんなこと、言ったってどうしようもない。勘違い、にしたい。
生まれつき、こうだったのだろうか
それとも、父と母の…… 考えたくない。
馬鹿だったら、よかった 気がつかなければ、よかった
ねぇ、ミカ?
君も、こんな気持ち、だったの?
本当の私に寄り添えるのは、君をわかってあげられるのは、私かもしれない。
私はどうしても、子どもが欲しくない 痛みの系譜を続けたくない。
それは、まともな人がするべきではないか。
そう、祈ってもいいだろうか。
叶うなら神様に。
あるいは、それ以上に、君に祈りたい
※Raphaël
正式な文書上では Raphaëlus と記される
【Leonhart】
お前は、何でもできる
何でもある
真っ当に育っていて、羨ましいよ。
だから、絶対わからない、よね?
そうじゃない持たざるものの気持ちは。
そんなこと、言われても。
確かにわからない。
怒りも、悲しみもきっとわからない。
小さな戸惑いが、なぜか胸にずっと引っかかる。
君達に合わせて生きかたや自分を変えるつもりは毛頭ない。
強く、真っ直ぐに生きる、それは自分も望むことだから。
だけど――想像、する
それでも、どうすれば、寄り添えるかを。
【Charles】
贅沢な悩みなんだろう。
いつも、いつだって一番になれない。
そのままの私を誰一人として愛してくれない。
ある程度、何でもできるからほったらかし。 馬鹿の真似事も、拒絶された。
母に……自分自身にも。
自分を変えるしかなかった。
一生懸命に磨いた。
それでも、家族は誰も私を一番にしてくれない。
いても、いなくても変わらないのかもしれない。
――君だけが、私を見てくれた。
だから、君と家族になりたい。
何でもしよう。全て差し出す。
好きにして、いいから。
どうか、願いを聞いてもらえないでしょうか、お姫さま……
君を、私の“物語”にしてもいい?
「ずっと待っているから、返事をください」
【Mikaëlis】
いつから、だろう?
最初からだ。
名前も、尊厳も奪われ続けられた。
ようやく、代替え品をそれらしくしても、完成するたびに奪われる。
泣いても、怒っても変わらない。
変わらなかった。
じゃあ、なるべく何もしたくないなぁ。
平気なふりして、やり過ごしたい。
俺は何もしない。これ以上何もしないから。
何も奪わない。望んだりしないから。
だから――ほっといてくれ。
でも、構うふり、くらい遊んでいいかな。
聖職者にも、それくらいの楽しみは神も許してくれるだろう。
あぁ、本当はいないんだってね、神は。
それなら、尚更、可能な限り自由でいたい。
もし君が笑ったら、それは奇跡だな。 そうしたら、神を……自分を信じてやってもいい。
—— Charles III
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます