喰らいビト

真人間も妖も巣食う人里離れた山奥に、柳生村という小さな村がある。

都会から車を走らせても、数時間を要する辺鄙な立地は、正に旅人すら近寄らない異境と言えた。
地図にさえ表れない、隔絶された村に一人の少年が不満を抱えている。

斯様な土地を治める領家に生まれ落ちた少年─櫛名瞬は、紛れもなく退屈な青春時代を過ごしていた。

或る夏の折に、都会へ越した友人から一通の手紙が瞬の元へ舞い込む。
そこに書かれていた理想郷と不穏な気配は、徐々に村への大きな違和感へと変わっていくのであった。

これは村の因習へと踏み込む少年が、全ての謎を解き明かすまでの物語。