8.道都の苦悩
その夜、道都は執務室で一人、考え込んでいた。
寛と悟、二人ともあかりに想いを告げたことを、道都は知っていた。
図書館は、守護者たちの感情を感じ取る。二人の切ない想いが、図書館を通じて道都にも伝わっていた。
「二人とも…あかりを想っていたのか」
道都は拳を握った。
そして、自分自身の気持ちにも気づいていた。
結城あかり。
彼女といると、心が温かくなる。
彼女の笑顔を見ると、胸が高鳴る。
これは──恋?
「いや、ダメだ」
道都は頭を振った。守護者は恋をしてはならない。それが掟だ。
父の教え。代々受け継がれてきた、瀬野家の掟。
「僕は守護者だ。個人的な感情を持つことは許されない」
でも、心の奥で、小さな声が叫んでいた。
あかりを守りたい。傍にいたい。彼女のために生きたい。
「…どうすればいい」
道都は苦悩していた。
守護者としての義務と、一人の人間としての感情。
二つの間で、揺れ動いていた。
翌日、四人は図書館に集まった。
集まったと同時に気まずい空気が流れる中
寛が明るく言った。
「なあなあ、変な空気やめようぜ!俺たち、仲間だろ?」
「そうだね」悟も微笑んだ。
「恋愛とか、そういうのは別として、僕たちは図書館を守る仲間だ」
道都も頷いた。
「ああ。これからも、四人で協力していこう」
あかりも笑顔になり、四人は再び心を通わせ始める。
「はい!」
そして皆で手を繋いだ。
それぞれの想いは違う。それぞれの立場も違う。
でも、図書館を守るという目的は同じ。
そして、互いを大切に思う気持ちも同じ。
四人は、これからも共に歩んでいく。
星乃海学園に隠された図書館の、秘密の守護者として。
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