誰が聖女を『殺す』のか?
- ★★★ Excellent!!!
聖女、あるいは聖人とはどのようなものか。
『神の力を借りて、その人にしかできないことをする人』。定義を広めに取ると、おおまかにはそのようになるはずです。
誰もが同じことをできるのなら、その人は「特別な存在」ではない。つまり聖女/聖人ではない。定義を裏返すとそのようになりますね。
さて、このお話の主人公は前世コンサル。転生してみたら聖女でした、というところからお話が始まります。彼女の専門分野は『標準化』。『その人にしかできないこと』――つまり属人的なものを、『誰にでも可能なこと』にしていくお仕事でした。
転生してきた彼女の目の前にあるのは『聖女にしか為しえない』ことの山。主人公は聖女を「業務」と捉え、その業務の属人化を解消するために動き始めます。
では、その行きつく先は?
属人化の解消とはつまり、聖女の聖性の剥奪です。誰にでも可能なことに聖性は宿りません。彼女の仕事が完成したとき、この国にもはや聖女の居場所はないでしょう。
彼女は、聖女という究極の属人的な役割を『殺す』ために、力を尽くしているのです。
そんなちょっとした矛盾を抱える彼女の仕事の行き先を、筆者は楽しみに見守ろうと思います。
皆様もご一緒にいかがですか?