聖女、あるいは聖人とはどのようなものか。
『神の力を借りて、その人にしかできないことをする人』。定義を広めに取ると、おおまかにはそのようになるはずです。
誰もが同じことをできるのなら、その人は「特別な存在」ではない。つまり聖女/聖人ではない。定義を裏返すとそのようになりますね。
さて、このお話の主人公は前世コンサル。転生してみたら聖女でした、というところからお話が始まります。彼女の専門分野は『標準化』。『その人にしかできないこと』――つまり属人的なものを、『誰にでも可能なこと』にしていくお仕事でした。
転生してきた彼女の目の前にあるのは『聖女にしか為しえない』ことの山。主人公は聖女を「業務」と捉え、その業務の属人化を解消するために動き始めます。
では、その行きつく先は?
属人化の解消とはつまり、聖女の聖性の剥奪です。誰にでも可能なことに聖性は宿りません。彼女の仕事が完成したとき、この国にもはや聖女の居場所はないでしょう。
彼女は、聖女という究極の属人的な役割を『殺す』ために、力を尽くしているのです。
そんなちょっとした矛盾を抱える彼女の仕事の行き先を、筆者は楽しみに見守ろうと思います。
皆様もご一緒にいかがですか?
「異世界」と「聖女」は、いわば鉄板ネタで、やり尽くした感がありますが、この作品は一風変わった聖女様が、現代知識で既得権益や悪習を変えていく物語です。
王国や教会の腐敗を成敗!ではなく、ひたすらに聖女に課せられた【業務】を効率化する主人公。
偶然にそれぞれの問題に対応出来る人物が仲間になったり、超有能な部下が味方についたり…などのご都合展開ではなく、聖女に転生した主人公が、ひたすらに業務改善に邁進する姿が、とにかく面白い。
業務の効率化や標準化を検討していくのは、現代的な社会システムでのみ成立するイメージですが、上手く異世界の社会システムに組み合わせていると感じます。
まだ物語が始まったばかりですが、これから先の展開がとても楽しみです。