第36話:家族への紹介
新幹線の窓から流れる景色が見慣れた田舎の風景に変わっていく。
俺の隣の席では、梓が少し緊張した面持ちで座っていた。
「大丈夫か、梓?そんなに緊張しなくても」
「だって、ご両親に会うなんて……失礼があったらどうしよう……」
「うちの親はそんな堅苦しい人じゃないから平気だよ。梓が来てくれるって言ったら、ものすごく喜んでたし」
そう、今日は俺の実家に梓を連れて帰省する日だ。
駅まで迎えに来てくれた母親は、車から降りてきた俺の姿を見るなり、目を丸くした。
「優斗……?あんた、本当に優斗なの?」
「なんだよ母さん、俺だよ」
「だって、まあ……!こんなに、がっしりして……たくましくなって……!」
母親は俺の腕や胸をぺたぺたと触りながら、信じられないといった顔をしている。
そして、俺の後ろに立つ梓の姿に気づくとハッとした表情になった。
「あなたが、梓さん?」
「はい!はじめまして、橘梓です」
梓が深々と頭を下げると、母は「まああ!」と声を弾ませ、その手を両手で包み込むように握った。
「なんて綺麗で、しっかりしたお嬢さんなんでしょう!優斗がいつもお世話になっています!」
その歓迎ぶりに、梓の緊張も少しほぐれたようだった。
実家に着くと、父親も驚きと喜びが入り混じった顔で俺たちを迎えてくれた。
リビングのテーブルには、母の手料理が所狭しと並べられている。
「梓さん、どんどん食べてね。優斗から聞いてるわよ、食事制限大変だったんでしょう?」
「ありがとうございます。すごく美味しいです」
明るく、ハキハキと話す梓のことを両親はすぐに気に入ったようだった。
食事が一段落した頃、母親がアルバムを持ってきた。
「梓さん、これ、優斗の小さい頃の写真なのよ」
「おい、やめろよ!」
俺の制止も聞かず母は次々と昔の写真をめくっていく。
そこにはガリガリでいつも自信なさげに俯いている学生時代の俺の姿があった。
「この頃は本当に心配でねえ……。友達も少ないし、いつもオドオドしてて……」
母は少し寂しそうに呟いた。
その言葉に、俺は胸が少し痛んだ。心配ばかりかけて親不孝な息子だった。
すると、梓が優しい声で言った。
「でも、今の優斗さんは誰よりも努力家で、自分の目標に向かって真っ直ぐ進める、とっても素敵な人ですよ。私が保証します」
その言葉に母は涙ぐみ、父も「そうか、そうか」と深く頷いた。
「梓さん。こんな息子ですが、これからもどうぞよろしくお願いします」
父が深々と頭を下げる。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
梓も、改めて真剣な表情で頭を下げた。
家族からの温かい祝福を受け、俺は梓と共に歩む未来への決意を新たにした。
心配ばかりかけてきた分、これからは二人で幸せになることで最高の親孝行をしていこう。
俺は、隣で微笑む梓の手をテーブルの下でそっと握りしめた。
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NTR失恋→筋トレ→無自覚色男化~復縁したいと言われてももう遅い~ @stay_
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