第12話 聖なる魔人
超常の者達の伝説の他に人でありながら伝説を持つ者達もいる。年代事に命を輝かせ様々な世界を魅せた英雄達の伝説が。
ジョン=ドゥのように最強の一角になるのではなく、他の永遠を歩む種ではなく、ただ人間として生きて世界を救った猛者達もいる。
ジョン=ドゥの末弟子であるアルハインもまたその一人であった。
アルハインはとある部族の族長の妾の子だった。
銀色の髪に紅い瞳、ただ体格は恵まれていた。
アルハインは持たざる者だった。
部族の長の息子ながら身体強化しか適正はなく属性も無属性だけが得意だった。
一族は魔法適正も複数あり、戦いの才能にもありふれていた。
幸いなのは一族は血の違いはあれど家族という認識でアルハインにも愛情を与えた。
アルハインは性格が実直であり、200センチもある巨大な体をもっていた。
愛情を糧に部族の誇りを糧に彼は自身の性能を信じた。
無属性とは根源的な魔力を操る属性として認識されているが、アルハインは根源という魔力に着目した。
交わらない属性の透明性、それは意思を形にできるという特性があるということ。
彼は自身を武器に見立てた、ありとあらゆる武具を越える武具として、体に纏う気を魔力と混じり合わせ、生命と心を混じり合わせ、ありとあらゆる力を想像し、砕けぬ自分を想像した。
想像し創造する自らを鼓舞し人を越える力を産み出した。
彼の産み出した概念は付加を越える概念「纏い」
無属性と身体強化という適正という概念から導きだした一つの極致。
ありとあらゆる苦難を弾き飛ばす強固な拳と肉体。
その姿を見たジョン=ドゥは面白いと一言だけいい、彼を末弟子として迎えた。
多くの困難と苦難を家族のために、また仲間のために戦うアルハインにジョン=ドゥは二つ名を贈った
「不屈のアルハイン」
世界に影響を与える悪魔の名付けはそのまま力になりえる。
はじまりの悪魔の賞賛を受け二つ名を受取ったアルハインは魔人へと進化した。
魔を開花させた人として、だが彼は魔を与えられながら善性の力も開花させた。
彼は産まれながらに聖なる魂を宿していた。
それは本来聖なる進化の芽吹きをもっていたもの、その芽吹きを魔であるジョン=ドゥが介入し相反する力として進化させた。
聖なる魔人。
彼は本来ならば産まれるはずのない魔人としてただ誰かを護るための魔人として新生したのだ。
故に彼の心根と心にジョンを含めた他の弟子達も注目し力を貸すことになる。
不屈のアルハイン。戦乱続くこの世界で煌めく最新の英雄の一人だ。
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