第10話 はじまりの悪魔

はじまりの悪魔ジョン=ドゥとしての逸話は色々ある。

彼は悪魔でありながら神であり、生物でありながら命を越えたなにか、何者でもないが何者でもある混沌。


彼が産み出した武具は混沌とされ聖でもあり魔でもある。

彼の産み出した術式は美しく効率的で、あらゆる魔術の基礎ともいわれている、その魔術を構築しまたあらたな魔術を産み出す者達もあらわれ、それが魔法とも呼ばれたりもする。


はじまりの悪魔は時に世界に敵対し、世界に味方をする。

初代勇者に聖剣を与えたり、時に異界からの神を退治したり、英雄を産み出したり、聖女を妻にしたり色々したりしたので、様々な伝説を産み出していた。


はじまりの悪魔とは結局気まぐれで敵にも味方にもなるような超常現象のようなものという認識があった。


ジョン自体も楽しく過ごしているので別に気にもしてはないが、ジョンにとって世界は箱庭のようで多くの生命を見て楽しんでいる。


多くの悪や善を見ながら想う毎日はジョンに様々な感情を想起させた。

世界は自分のものと思ったことはなく、戦いもまたその人間達の選択。


選択の中で苦悶や解決をする生命は美しかった。


ジョンは命が好きだ、進化して変わっていくそんな姿が。


「伝説なんてそんなものは誰かがまた産み出せばいい」



そんな事を呟きながらジョンは紙煙草を吸う。

嗜好品の文化もジョンが広めた。


地球の文化と魔法や剣の技術は融和性が高く、様々な恩恵を世界に与えた。

科学と魔法は魔導とされ、様々な学問は知識となり知恵となった。


多くの物事は積み重ねからはじまる。

慢心からは何も生まれずどんなに才があっても磨かねば何もならない。


多くの英雄も勇者も堕落したらただの人にしかならない。

どんな世界も何かを怠れば何もならないというのは当たり前だ。


だからこそジョンも常に自分を鍛えている、成長という枷も外し常に限界を超えるように。


護れるものがあるのがまたいい。


そうすれば心も体もまた立ち上がれるから。


はじまりの悪魔は無敵であるというのは通説ではあるが、最強になるための研鑽を怠らないだけで進化し続けているだけだ。


永い時であり、ジョンを越えるような鍛錬をする者がいまのとこいないだけである。


永い時とは変化もするものであるから停滞はないとジョンはおもうし、やがて自分が挑戦者にもなりえることもあるのだろうなあともおもっている。



世界は全て思う通りにはいかないし、もしかしたらこの世界よりも自分が創造する世界に興味が浮かんだら創造しにはいくかもしれない。



はじまりの悪魔という肩書もいいが、異世界にわたってまた別の肩書になるのもいいかもしれない。


多くの選択は自分を楽しませるものとジョンは知っているから。


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