第4話 ダンジョン

ジョン=ドゥのダンジョンについて語るならば一種の村といえばいいだろう、全世界に散らばる洞窟型ダンジョン。


ジョン=ドゥのダンジョンは極めて難解で招かなければ脱出できないようなダンジョンではある。


まあはじまりのダンジョンマスターであるのだから当然なのだが、あらゆる罠やあらゆる能力を封じ、魔法すらも封じられ、素の状態で攻略するようになる。


稀に素の状態である程度は攻略できる猛者もいるが、それはそれで稀だ。

まあ完全にダンジョン内につくった村に案内なしでたどり着けるのはジョン同様、別種族の使徒と、また永い時を生きる種族の者くらいか、たまに英雄や勇者というような人間達もたどり着くこともあるが、まあそこまで強い人間のそうそういない。


村といえばそこまで多くもなく1000人ほどの村人達が住んでいる。村に定住し、また旅に出たり、村の中で産まれた子ども達も世界を学ぶためにこの世界でいう15歳の成人の日に旅立つ事になっている。


なんとなくジョンがタイミングがいいだろうとそういう儀式にした。

やはり魔物と戦う術や生きる術は外に出ないと磨かれないので旅は推奨している。

勿論基礎的な技術を教えた上ではあるが。


この世界はいまだ未知に充ち溢れている。

それがジョンには嬉しい。


だからこそ自分のダンジョンの子達には外で活動してほしいとおもう。

このダンジョンの村は非常に便利にできていて、地球と遜色のない生活ができてしまう。


だからこそ不便も大事にするという感覚も養ってほしい。

人は簡単に死ぬからこそその命を大事にして次代に繫げる心を養う必要もある。

この世界は残酷でもあるし愛に満ち溢れてもいる。

充足でいるかどうかなんて人それぞれだが、命が軽く消えやすいからこそ、感じ入る自分のことは大事にしてほしい。


自分を大事にできなければ他者を大事になんてできないのだから、そのことに関しては大事に思ってほしい。


あの少年も母と共にダンジョンに引き取ったわけだから少しずつ教えるつもりだ。

ジョンが求めた事がこの村にはきちんとあるので、ジョンは安心している。


平穏と向上心があれば様々な人種は変わっていける。

対話できるかどうかが重要なのだとジョンは思っている。

決めつける事や自身の価値観でしか話せないのは思考停止と同義だ。

それはそれでもったいないので村人やダンジョンの配下を含めて常に話をするようにしている。


他者と自己の更新はきちんとした会話の流れの中で産まれるわけだから、話をすることに時間を使うのは大事なことだ。


無駄な話にもなんらかの大事な気づきはあるもので、そういう話も好んでいる。

この村の産業は家電や魔道具、新規の魔法等様々で常に研究され多くの新たな技術を生み出している。


村の総資産は国を買えるほどとはいっておこう。

こじんまりとした村ではあるが、村人達は全て一騎当千の強者達。

一人一人が国と相手にしても負けないと言われるくらいだ。


まあそれもジョンが最適解のトレーニング方法を与え村人たちが奮起して頑張ったおかげではあるのだけど。


基本的にジョンに救われた者とその家族がいる村なのでジョンに恩を感じているのもある。


恩義に報いたいという良心を持つ村人と自分好みの正義を貫くジョンは相性がよく、常に多くの研鑽を共にし、その技術力はこの世界一となっている。


地球の技術とこちらの技術の重ね合わせは多くの魔法使いや技術者をうならせた。

このダンジョンの技術だけで多くの時代を盛り上げた。


廃れる文明もあれば開花する文明もある。

多くの楽しい時代と冷遇の時代をかけぬけていままた多くの喜びに出会えている。

まあそれでも今はまた戦乱期にはいっているのだけれど。


中央大陸の帝国と呼ばれる巨大国家が世界に対して宣戦布告、それに対して各国が応戦し、未曾有の戦争になっている。


帝国が宣戦布告したのは召喚の技法で勇者となる人物を召喚したかららしいが、その勇者も戦争には反対らしい。


能力が高い分、帝国も逆に対応が難しく、難儀しているのだとか。


近いうちにジョンは帝国に顔を出そうかなあと思っている。

別世界からの片道での召喚はいうなれば誘拐と同じ、話によっては創造神に話をして元の世界に帰らそうとは思っているが、手に入れた情報だと身よりのない青年という事なのと地球には未練がないとはわかったので、またダンジョンで引き取ろうとはおもっている。


少なくとも望まないものに関してはどの世界でも強引はいけない。

生きることは誰もが等価値でだいじなものでなくてはならない。


少なくともこの世界はすぐ命を奪うような風にはできてはいるが、率先して死を求めるものでもないので、自身の強さを向上させて生き抜くというのは大事なのかなあとはおもっている。


召喚された者や転生者とされるものは成長率がこの世界にいる者達よりも高いとされている。


それはなんらかの加護を与えられている可能性が高いとされているから。

まあなんもないところから戦うなんてできないだろうし、それはそれで神の慈悲もあるだろう。


基本は召喚されたら帰れないのが通常だが、ジョンは神と交渉することができるので人によっては返すことができる。


まあそれでもどうしたいかは本人には聞くけれど。


ジョンは自由きままにこの世界を過ごしている、自由は責任だ。生きる事の、無責任になったらたちまちつまらなくなってしまう。


だからこそ関わる人は大切に笑顔を大事にする。


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