第3話 まあまあ
とりあえず事情を話し、少年と母である聖女をめぐり合わせた。お互いに泣きながら抱きしめ合ったのでまあまあよかった。
とりあえず教団自体はつぶしたので、そこに在籍していた聖女達は引き取ることにした。教団自体まともな人間は少なかったので、教団内部の人間は自死に見せかけて全員塵にした。
そういうところは悪魔らしく残酷ではあるが、この世界で不可解な事件は色々起こりやすいので、逆に教団がなくなったほうが幸福になる人間達が多いのもあるので問題にはならなかった。
奴隷やら人体実験やらなんやらしていたし、国の汚職の温床にもなっていたときいていた。
まあどこの世界も一緒か、ジョンは葉巻を吸いながら思考する。
ダンジョンマスターというダンジョンを造るという技能も与えられているので、そこもまた街のようにしてしまった。
人の生命エネルギーをダンジョンを造るためのエネルギーに変えられるので、生物が死んでもエネルギーにはなるが滞在させて循環させたほうが効率がいい。
一万年という永い時を経て国とはいわないまでもダンジョンの中に村みたいなものを造った。
ジョン自体がのんびりした田舎が好きなので街までにしようとも思わないからだ。まあそれでも地球の技術とこちらの技術を融合させた最先端の村なのでこの世界ではオーパーツ扱いではあるが、まあそんなことは関係はない。
この世界に悪い影響がなければ問題はないのだ。
実際この技術はダンジョンと提携している国々にも技術譲渡されているので問題はない、今だにジョンとダンジョンを危険視している国家群はまた別ではあるが、ジョンは別に気にもせずにこの世界を楽しんでいる。
生活水準は最初こそ水準は低かったが少しずつ知恵や知識を与え多くの魔法や技術を開発し、ここまできた。
それぞれの文化を開花するのを見据え楽しんだ。
孤児を引き取り冒険者としての技術も教え、ある時は邪悪な魔王とも対峙した。
なかなか面白い人生ではある。
終りのない人生も悪くはないが、やはり定命の友を失うのはいつも悲しい。
同じような不死の友もいるが、定命の友の輝きもまた美しいのだ。
まあそれでも永遠という時は変わらないし楽しんではいるのだからいいだろう。
亡くなった友との子孫とも善き関係を続けている。
少年は母と手をつなぎ甘えている。
そのうち父親にも会わせることにしよう。
一応ジョンにも息子や娘はいるが、あまりあってはいない、冒険者として大成したり、一国の主になったり、様々な分野で忙しいのだ。
種族によってはジョンの不死性を継がない子供達もおり、何人かは先に逝った。不死性を継いだ子らは今も元気にはしているが、今している事が楽しくて父親には会いにはこない。
まあそれも一興だなあとジョンは思っている。
自分も自由だし、子供達も自由で素晴らしいことだなあとおもうのだ。
愛した女性達の残した子らが今も元気であるならばそれでいい。
母親も長寿だったり永遠の命を持つ種族である者達は生きてはいるが定命の妻達もまた亡くなっている。
ジョンは等しく全ての妻を愛したので別に無情というわけでもない。日本人としての要素が強かった初期の時代は少しは考えたが多くの妻を娶り慣れた頃から楽しむようになった。
元々子供は好きだし、子供達は愛情をもって接するものと考えているので、孤児院に関しても多くの孤児院を開設し助力を惜しまない。
人が人足り得るのは衣食住があってはじめて心が安定するのだ。
幼少期にそれが不足すれば心も壊れるとジョンは思っている。
前世もそこまで裕福な場所にいたわけではないが、愛情深い両親の元育ったので、愛情の大事さはよくわかっている。
人間含めて多くの種族は愛がないと歪む。
それも穏やかな気持ちになるような場所でなければ。
人が死にやすい世界だからこそ色々と大事にしないともったいないような気もする。
人生は豊かで笑顔になるようなものでなければダメな気もするのだ。
まあそれもジョン自体が望むものであるのだが。
たのしく生きれるための何かを人それぞれちがうし、ジョンはジョンでその楽しみを気づけるような風になればいいと思っている。
別に押し付けるわけでもなく、どうしていくかを考えたらそれでいい。
人は誰かの所有物でもなく、誰かが支配するものでもなく、ただ純粋に生きれることの喜びを産み出せばいい。
自分が世界を揺るがすほどの力があるからといってその力で全てを支配しようとも思わないし、ただ自分が気に入らない出来事や人をどうにかするときはあるかもしれないが、基本的に穏やかに世界を楽しめばいいとおもっている。
定命の友や仲間と別れるのは寂しいけれど、まあそれもまた一興かなあと思っている。血筋が途切れない限り世界は続く。
時に争うこともあれば時に友となることもある。
大事なのはどうしていくかという思考だ。
魔法や剣の世界でも心根がしっかりして性格や心が豊かではないとよい人間性は育まれない事を知っている。
少なくとも少年の内に人を亡くす事に慣れてしまった少年にはカウンセリングが必要だろう。
そのための心の修復の時間が必要だ。
彼の幼年性が歪む前に出来る限りの事をするのが吉なんだろうなあとおもう。
何かを縋るために集団とするのか、自らの欲望のために集団とするのかわからないが、少なくとも神というのは自分達が願い実現するための拠り所であって決して欲望を消費する場所ではないはずだ。
この世界に神はいるのでその神に関して自分達の都合の良いように解釈するのはまた違うような気もする。
少なくとも少年を消費するような教団に関しては滅びるべきだとおもうし、そんな中自らの良心によって色んな癒しを施してきた聖女達はすごいとおもう。
それは称賛されるべきであるし、救われるべきだとおもう。
どんな事をしていたかといってもあまりにも屑すぎて話す気にもならないので、まあ滅ぼされるほどであったといっておこう。
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