ACT.10

 あの伝説の学園祭ライブから、はや一ヶ月。

 ZENTYの名は、全国タイツネットワーク(略称:全タイ協)を通じて瞬く間に拡散されていた。


 🧵「ぴたぴたすぎる……」

 🧵「ゼンタイでここまで表現できるの、ZENTYしかいない」

 🧵「布の申し子、現る」


 そして、ついに招待状が届く――


 🎤📦ご招待📦🎤

【第11回 全タイ連主催・全国ゼンタイ音楽祭】

 タイトル:『TIGHTS☆UNIVERSE 2025』

 会場:布スタジアム(収容人数:3万人・全席布張り)

 ゲスト出演:ZENTY(常葉女子高)


 会場:布スタジアム in 東京布港湾ベイエリア


 世界最大のタイツ対応型ライブステージ。

 座席は全てストレッチニット張り、

 スタッフは全員黒ゼンタイ、

 物販エリアには「布ルミライト」「推し布シール」「ゼンタイ保湿ミスト」などタイツグッズが所狭しと並ぶ。


 そして観客は……

 3万人・全員ゼンタイ。


 会場は文字通り「布で満たされた宇宙」。


 ZENTY、布で包まれた控え室にて


 あやか(白ゼンタイ・センター)は深呼吸する。

「緊張……してる?」

「ううん、してないって言えばウソだけど……」

「でも私たちの布は、今日のためにある」


 みな(赤ゼンタイ・煽り隊長)がニヤリと笑う。

「いくよ。布で、世界、抱きしめに行こ」


 ついに開演! タイツフェス開幕ッ!


 ステージに現れたのは――

 しゅるっ!

 しゅるっしゅるっっ!!


 色とりどりのゼンタイ姿、ZENTYの4人!!

 光沢布がライトに反射し、ぴたぴたと滑らかにラインが浮かび上がる!


 \ZEEEEEN-TYYYYY!!!!!/

 \うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!/

(※観客もゼンタイのため、音が少しこもってて可愛い)


 セットリスト(抜粋)


『ぴたぴた☆ハートで包んで』(布圧調整ポップ)


『布音-symphony-』(全編しゅるしゅる音とハーモニー)


『湿度50%の恋』(布が貼りつくセンチメンタルバラード)


『SHINING TIGHTS!!!』(クライマックス曲・照明MAX)


 曲ごとにゼンタイが布変化!

 ・光沢布 → レースタイツ風透け仕様

 ・マット布 → 夜空に光るライン反射ギミック

 ・水分吸収で色が変わる布で、ラストにサプライズ演出!


「これが……布の可能性……!」

「3万人の布がひとつになってる……!!」


 ラスト、布ルミライトの海が揺れる。

 ステージのあやかが、ゼンタイフード越しに涙をにじませる。


「ありがとう、みんな……

 この世界がタイツでよかった……!」


 アンコール:観客ゼンタイ全員で「布国歌」合唱


 ♪しゅる〜〜 ぴた〜〜〜 たゆたう繊維〜〜〜

  こころとからだを〜〜 しずかに包む〜〜♪


 その瞬間、

 ぴたぴたの星空が、布のドームを包み込んだ。


 ステージ裏。

 興奮冷めやらぬまま、ZENTYの4人はしっとりと布にくるまれて座る。


「……最高だったね」

「うん……布って……やっぱ宇宙だわ……」

「次は……ドームツアー?」

「いや、世界布布布(ワールド・ぴたぴた・ぴた)、あるかもね……♡」


 タイツ学園祭、布スタジアムライブ――

 ZENTYは瞬く間に布界の象徴となった。


 だが季節はめぐる。

 あやかたちもいよいよ卒業の年。

 学園の布は、次の世代へと渡される時が来た。


 タイツ学園・卒業布授与式


「卒業生代表、ZENTYメンバー、あやか・みな・のぞみ・さや」


 体育館に響く拍手――

 舞台上、彼女たちは純白の卒業ゼンタイを纏っていた。

 顔以外すべてを包むその布は、まるで過ごした3年間そのもの。


「この布に、私たちの全部が詰まってます」

 あやかが静かに言う。


「でも――今日で、私たちは“ZENTY第一章”にピリオドを打ちます」

「次にこのステージに立つのは……新しいぴたぴたたちです!!」


 新メンバーオーディション! タイトル:『NEXT ZENTY -布継-』


 在校生から選ばれる、新たなゼンタイアイドル。


 候補者は10名。全員、ゼンタイ姿でパフォーマンスに挑む。

 踊るたび、揺れる布。汗が滲み、声が布越しに響く。


 最終審査、ZENTY OG4人はタイツの奥の想いを見つめていた。


 新ZENTYメンバー、ついに決定!


 🌸 春風の白:かすみ(1年)

 清らかで、タイツを纏う所作が美しい。あやかの系譜を継ぐセンター候補。


 🔥 情熱の赤:りこ(2年)

 圧倒的布筋力とステージ煽り力。みなも「布魂、見えた」と認定。


 🌙 静寂の黒:ゆい(1年)

 感情を表に出さないが、ぴたぴたが語る。のぞみの再来。


 💧 水色の風:なな(2年)

 タイツと水を自在に操る布魔術師。さやも「水跳ねの角度、完璧」と涙。


 卒業ライブ:『ZENTY:ぴたぴたの継承(レガシー)』


 OG4人と新4人による夢のコラボ!


 8人のゼンタイが一列に並ぶ。

 ライトが落ち、イントロが流れる。


 🎵『布よ、未来を包んで』


 ♪この手はまだ未熟だけど

  この布は確かに重ねた歴史

   ぴたぴた、あなたに届きますように……♪


 ZENTY OGが一歩下がり、

 新ZENTYの4人が前へ――


 次のぴたぴたが、

 世界を包みに行く。

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