ACT.11
第二十二章:ZENTY OGたちの卒業旅行
~布とともに、最後のぴたぴた四重奏(カルテット)~
春。
桜が咲き、制服タイツもすこしだけ薄手のものに変わる頃。
あやか・みな・のぞみ・さや――ZENTY初代メンバーの4人は、卒業式を終え、ついに旅立ちの日を迎えていた。
「行こうか――ぴたぴたの、その先へ。」
向かった先は……
布文化発祥の地とされる、“ゼンタイ・アルプス地方”へ!!
◆舞台:布アルプス・ゼンタイヴィレッジ
そこは伝説の「ぴたぴたの聖地」。
伝統的な布職人たちが暮らす村で、空気までもがストレッチ素材のように滑らかだと語られる場所。
ゼンタイ仕様の石畳、タイツ張りの木造宿、ぴたぴた温泉、布チーズ、布ジャム、布紅茶など――
すべてが、「布に愛された世界」。
1日目:ゼンタイ民族衣装体験
まずは伝統行事に合わせて、地元の老舗「布工房ラ・シュルル」で民族タイツ衣装に着替え。
・あやか:透ける白と銀のレースゼンタイに、流れるケープ
・みな:鮮烈な赤に金の刺繍入り、脚元は戦士風タイツブーツ
・のぞみ:漆黒のベルベットタイツに布フード付き
・さや:パステルブルーのスパンタイツ、袖先はひらひらと軽やか
「これ、歩くだけでぴったぴた音するよ」
「わたし、今……空気すら布に感じる……」
2日目:ゼンタイハーブ温泉と布風カフェ
朝は、タイツで入るミントハーブ温泉!
布の中までスーッと染み込む香りに、全員とろけた顔。
「布の奥の疲れが……抜けてく……」
「ねぇ……このまま溶けてぴたぴた湯になるんじゃない……?」
昼は「布風カフェ・ピタール」へ。
布で包んだパンケーキ、ゼンタイ抹茶ラテ、布付きストローなど“ぴたぴた舌触り”の新世界。
夜:4人だけのラスト布会議
宿の部屋で、浴衣代わりのタイツローブに包まれた4人は、静かに円になって座る。
窓の外では布灯りがふわふわ揺れている。
「……私たち、ここまで来たね」
「うん。学園祭、布スタジアム……まさか卒業まで全身布で駆け抜けるなんて」
「でも後悔してない」
「この布に出会えて、本当によかった」
タイツの手をそっと重ねる。
ぴた。ぴた。ぴた。ぴた。
「離れても、布がつないでくれる」
「そう。心のゼンタイは、ずっと脱げないから」
笑って、涙が出て、でもぴたぴたしてて、
それがZENTY OG最後の夜だった。
そして帰国――
空港で、みなが背伸びしながら言う。
「さーて! 布世界制覇、次はどこ行く〜!?」
「布アメリカ?」
「ぴたぴた南極基地?」
「布宇宙……?」
ZENTYは卒業した。
でも、布の旅は、まだまだ終わらない。
~布フェス2026スペシャルゲスト『ZENTY OG』、再びぴたぴたのステージへ~
あの春から一年――
ZENTYの名を受け継いだ新メンバーたちは、すでに全国布ランキング1位に君臨。
しかし、誰もが心のどこかで待ち望んでいた。
**“あの伝説の4人”**の――
再・登・場。
そしてついに告知が届く。
📢【発表】
🎤🎊TIGHTS UNIVERSE 2026🎊🎤
全国ゼンタイフェスティバル・ファイナルステージ
スペシャルゲスト:ZENTY OG(初代)――一夜限りのぴたぴた降臨!!
SNSはぴたぴたにざわついた。
🧵「布の神々が戻ってくる……」
🧵「全布が泣いた」
🧵「この日を……この日を待ってた……!」
開催前夜:OGたち、再び集う
都内某所、全布強化スイートホテル「ピタリウム」にて。
ぴたぴたローブを纏ってソファに座るのは――
・あやか(白、今は布芸術大学在学中)
・みな(赤、布パフォーマンス団体で講師)
・のぞみ(黒、ぴたぴたミュージカル俳優)
・さや(青、布と水の研究所スタッフ)
「なんか……ドキドキするね」
「一年ぶりだもんね、4人並ぶの」
「でも体は覚えてるよ、この“ぴたぴた”」
衣装合わせは、“かつての色”を進化させたOG専用ゼンタイスーツ。
・純白に銀の走査ライン(あやか)
・真紅の発光布(みな)
・漆黒マットと艶のコンビネーション(のぞみ)
・水面反射布仕様・透けエッジパーツ(さや)
彼女たちの体に、ふたたび布の魔法が戻っていく。
そして本番――
🌟**TIGHTS UNIVERSE 2026 Final Stage!!**🌟
布スタジアムが、再びぴたぴたの鼓動を刻む。
照明が落ち、無音。観客全員が布息を呑む中。
ステージに現れた――
4本のシルエット。
🎵イントロ:『ぴたぴた☆ハートで包んで(Re:Birth ver.)』
\ZEEEEENTYYYY OOOOGGGGG!!!!/
ぴたっ! しゅるっ! しゅるるっ!
全員が知っている、あのぴたぴたが、今、目の前に甦る。
ステージに舞うのは、布の重みと誇り。
呼吸とリズムが、ゼンタイの中で一体になる。
ハイライト:新ZENTYとのコラボ曲!
OG4人+新ZENTY4人、8人フルゼンタイ揃い踏み!
🎵『繋布 -つなぴた-』
♪先輩のぴたは憧れじゃない
今、私の布も未来を包む
ぴたぴたの鼓動、重ねて届ける
ゼンタイの灯は、永遠に――
OGと新世代、布と布が肩を並べて踊る姿に、
観客は布越しに泣いた。
アンコール・サプライズ
観客全員参加型「全員ゼンタイぴたぴた円舞」!
8人のZENTYが手を取り合い、円の中心に立つ。
会場の3万人が、タイツのまま輪になって布を揺らす。
それはもう、アイドルライブではなかった。
タイツ文化そのものの祝祭だった。
ラストのMC、あやかが言った。
「布は、包むだけじゃない――
想いを、受け継ぐもの。
私たちはZENTYでいられて、本当に幸せでした」
その夜、ぴたぴたホテルの一室で
「ねえ……」
「なに?」
「卒業しても……また、こうして集まれたらさ」
「うん、また“ZENTY”って名乗ってもいいかな……?」
「当然でしょ。布がつながってる限り――」
私たちは、ぴたぴたでいられる。
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